経済政策の影響力を、流行語から推し量る

 その年の世相を反映して話題になった言葉を選ぶ「ユーキャン新語・流行語大賞」が、12月1日に発表された。年間大賞に選ばれたのは、25年ぶりにセ・リーグ優勝を果たした広島カープの神がかり的な強さを表現した「神ってる」。

2016年の「ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞には「神ってる」が輝いた。中国電力エネルギア総合研究所は、広島東洋カープのセ・リーグ優勝や日本シリーズ進出などに伴う広島県での経済効果が340億円になると発表した。(写真:伊藤真吾/アフロ)
2016年の「ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞には「神ってる」が輝いた。中国電力エネルギア総合研究所は、広島東洋カープのセ・リーグ優勝や日本シリーズ進出などに伴う広島県での経済効果が340億円になると発表した。(写真:伊藤真吾/アフロ)

 カープの優勝により、地元の経済だけでなく、カープ女子を含む熱狂的ファンが全国各地で行われる試合に足を運んだこともあって、日本経済全体にも一定の好影響が及んだとみられる。

 もちろん、このイベントは、マーケットに直接影響が及ぶテーマというわけではなく、「アベノミクス」との直接の関連性もない(地方創生につながるという見方もできないわけではないが)。

 ここでは、新語・流行語大賞の候補になった言葉まで範囲を広げて(今年の場合は候補である30語が11月17日に発表されていた)、「アベノミクス」が展開されているここ4年(2013~2016年)について、何か浮かび上がるものがないか、筆者なりに考えてみたい。具体的には、これらの年に新語・流行語大賞にノミネートされた言葉の一覧表を作成した上で、筆者の判断で、①マーケットに直接関係するもの、②「アベノミクス」に直接関係しているものを選び出した。

2013年には「アベノミクス」や「3本の矢」がノミネート

 第2次安倍内閣が発足して「アベノミクス」が正式にスタートしたのは2012年も押し詰まった12月26日なので、年間で考える場合、2013年からということになる。この年の「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされた50語を見てみよう<■図1>。

■図1:2013年の「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされた言葉
ノミネートされた50語 うちマーケットに直接関係するもの うちアベノミクスに直接関連しているもの
PM2.5/NISA(ニーサ)/母さん助けて詐欺/弾丸登山/美文字/DJポリス/ななつ星/パズドラ/ビッグデータ/SNEP(スネップ)/ヘイトスピーチ/さとり世代/ダークツーリズム/ご当地電力/ご当地キャラ/こじらせ女子/富士山/日傘男子/バカッター/激おこぷんぷん丸/困り顔メイク/涙袋メイク/倍返し/今でしょ/ダイオウイカ/じぇじぇじぇ/あまロス/ビッグダディ/ハダカの美奈子/ふなっしー/フライングゲット/マイナンバー/NSC/アベノミクス/3本の矢/集団的自衛権/特定秘密/汚染水/ブラック企業/限定正社員/追い出し部屋/ナチスの手口に学んだら/ネット選挙/アホノミクス/引いたら負け/二刀流/スポーツの底力/シライ/お・も・て・な・し/コントロールされている NISA(ニーサ)    
NISA(ニーサ)/マイナンバー/アベノミクス/3本の矢/アホノミクス     
(出所)「現代用語の基礎知識」資料より筆者作成

 年間大賞になったのは「今でしょ!」「じぇじぇじぇ」「倍返し」「お・も・て・な・し」の4つである。筆者にはいずれも思い出深い。それらの他にトップテンに入ったのは、「ご当地キャラ」「アベノミクス」「特定秘密保護法」「PM2.5」「ブラック企業」「ヘイトスピーチ」である。

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