2017年の春闘は、「今年並みの水準」で決着するか

 毎年の賃上げ率のうち、おおまかに定期昇給部分とみなされているのは1.8%である。したがって、「官製春闘」3年のベア実績は、「2014年 0.39% → 2015年 0.58% → 2016年 0.34%」という流れである。

 では、2017年の春闘での賃上げは、安倍首相が要請した「少なくとも今年並みの水準」、すなわちベア0.34%を含む2.14%以上の水準で決着するのだろうか。

 下記のようにいくつかの材料が入り混じる「綱引き状態」の中から、実績値が最終的に出てくる。

【追い風になっている材料】

・安倍首相自らが乗り出している、政府から経営側への賃上げの要請(圧力)

・「トランプラリー」の中で円安ドル高が急進行したこと(2016年度下期の輸出企業の業績に好影響。これを先読みした株価の上昇も、企業や家計のマインドにポジティブ)

【逆風になっている材料】

・2016年度については、現時点では小幅ながらも経常減益が見込まれていること

・新興国の景気減速が、日本企業の業績を引き続き下押ししていること

・株価上昇に都合のよい部分だけを「つまみ食い」して期待先行で進んできた「トランプラリー」は、要するに「ミニバブル」の一種であり、そうした動きがいつまで続くかわからないこと

・同じ業種でも業績のばらつきが大きいこと(榊原日本経団連会長は11月22日の記者会見で「今の経済状況では(ベアを)できる企業とできない企業がある」と発言)

いくら政府から強い要請があるとは言っても…

 正確なタイミングやペースは誰にもわからないが、「ミニバブル」の色彩を帯びている「トランプラリー」は、遅かれ早かれつぶれるだろう。そう考える場合、いくら政府から強い要請があるとは言っても、企業経営者の視点からは、2016年の実績以上の賃上げは困難だと考えざるを得ない。

 ただし、そうは言っても、政府(安倍首相)のメンツが保たれる範囲内の数字には、おそらくなるだろう。

 上記の諸点を勘案した上で、2017年の主要企業の春闘賃上げ率について筆者は、2016年の実績には届かないものの、それを小幅下回るにとどまる2.10%程度(うちベア相当は0.30%程度)での決着を予想している。