政府が組合側のバックについて、賃上げの旗振り役を務める「官製春闘」が4年目に突入する。安倍晋三首相は11月16日、将来にわたり人件費の押し上げ要因になるベースアップ(ベア)の実施要請にまで言及した。

連合は「2%程度を基準」とするベアを要求する

 連合は11月25日に開いた会合で、2017年春季労使交渉(春闘)では「2%程度を基準」とするベア(従業員の基本給を一律に引き上げるベースアップ)を要求することを正式に決定した。2016年と同じ表現である。

 自動車・電機など主要製造業の産業別労働組合で組織する金属労協は12月2日に開いた会合で、2017年春闘におけるベアの統一要求を「月額3000円以上」とすることを決めた。2016年と同じ水準で、ベアを要求するのは4年連続となる。

 これをうけて、自動車総連や電機連合は傘下企業の労働組合と調整した上で、月額3000円以上のベア要求を、年明けに正式決定する見込みである。

「経済の好循環」の実現には給料水準の底上げが必要

 ベア3000円以上は月例賃金の1%以上に相当する。組合側は、政府が実現を促している「経済の好循環」を実現するためにはベアをつけることによる給与水準の底上げが欠かせないと主張している。

 一方、日本経団連は年明けに公表する2017年春闘の経営側の指針「経営労働政策特別委員会報告」で、4年連続の「年収ベースでの賃上げ」を会員企業に呼びかける見込み。

 経営側は総じて、固定費的な色彩が濃いベアには慎重姿勢をとっている。先行き不透明感が強く、企業業績に年ごとの振れがつきまとう経済状況に、一律の賃上げはそぐわないとしている。むしろ、変動費的な色彩が濃いボーナスによる給与水準の上下双方向での年ごとの調整や、正規社員・非正規社員の給与水準の格差縮小、子育て世代の手当て充実といったさまざまな角度からの賃上げ模索の必要性が前面に出されることが多い。

 報道によると、上記報告の原案には「収益を拡大した企業に対し、2016年を上回る年収ベースの賃金引き上げを求める」「定期昇給の実施や、ベアに限らず、さまざまな選択肢が考えられる」と書かれており、必ずしもベアにこだわらない年収ベースでの賃上げが模索されている。