北朝鮮から韓国に昨年亡命したテ・ヨンホ(太永浩)元駐英公使が11月1日、米下院の公聴会で証言。米国本土を核兵器で攻撃できる能力を北朝鮮が獲得できれば、米国は譲歩を迫られ、最終的には在韓米軍の撤退や韓国の体制崩壊を実現できると、金正恩朝鮮労働党委員長は確信しているのだという(11月2日 NHK)。ちなみに、テ・ヨンホ氏は2017年1月8日時点で、核弾頭を装着した大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発を2017年末から18年初に終える内部目標を北朝鮮が持っていることを明らかにしていた(1月9日 読売)。そして、2~3年以上かかるだろうという専門家の予想を、北朝鮮はあっさり覆した。

 米議会調査局がまとめた報告書には、米国が今後とり得る7つの選択肢の1つとして、北朝鮮の非核化と引き換えにした在韓米軍の撤退が入っている(11月2日 NHK)。仮に米朝協議が始まれば、核保有容認と在韓米軍の2点を軸に、交渉が展開されるだろう。

「秋冬」の季節はミサイル発射がもともと少ない

 すでに述べたように、9月15日の中距離弾道ミサイル「火星12」発射から11月29日まで2カ月半近くにわたり、北朝鮮の挑発行動は手控えられた。経済制裁がじわり効いてくる中で北朝鮮は米朝協議を強く望んでいると推測されるわけだが、別の説明もなされている。ミサイル発射には季節性があるという指摘である。

 秋~冬は北朝鮮によるミサイル発射の数がもともと少ない時期だという季節性を重視する指摘をしたのは、ニュージーランドの大学の研究員である。米国防総省のアドバイザーだったこの研究員は、「北朝鮮の兵士は戦時でなければ秋の収穫期に農作業に専念する。非効率だが、それが北朝鮮の制度における特性だ。繰り返されてきたいつも通り(の)パターンであり、つまり来年早い時期に北朝鮮の挑発行為が増えると想定しなければならない」という(11月15日 ブルームバーグ)。たしかに、北朝鮮関連の本を読むと、軍の兵士が農作業や道路などの工事に従事する話がしばしば出てくる。

「核・ミサイル実験を60日間凍結すれば対話に応じる」

 韓国を訪問した米国務省のジョセフ・ユン北朝鮮担当特別代表は11月14日、韓国のメディアに対し、「(北朝鮮が核実験・ミサイル発射を自制している背景は)分からない。北朝鮮は(実験を)停止するとわれわれに伝えてきていないためだ。このまま(自制を)続けるよう望んでいる」と述べた(11月15日 時事)。

 これより前、ユン特別代表の10月30日の発言をワシントンポスト(電子版)が11月9日に伝え、注目された。外交問題評議会で開催された会合でユン特別代表は、北朝鮮が核・ミサイル実験を60日間凍結すれば北朝鮮との対話に応じる考えを示したという。オフレコ扱いだったが、複数の出席者がワシントンポストに明らかにした。

 問題となるのは、この60日間の起算日である。ミサイル発射があった9月15日の翌日が起算日になるなら、対話を始める条件はいったん満たされたことになる。

 だが、上記の記事によると、60日間の挑発行動停止期間を数える前に、北朝鮮が停止の開始を米国側に通告する必要があると、米政府筋は指摘。まだ日数のカウントは始まっていないとの認識を示したのだという。実際、ユン特別代表は訪韓していた11月14日に、すでに引用した通り、北朝鮮からの停止通告はまだないことに触れていた。