SNSで共有されたデマ情報

 若年層を中心に情報源として依存するのはSNS経由のニュース配信だが、それらの中には排外主義・保護主義的なムードを煽るものが混じっていたほか、「ローマ法王がトランプ候補支持を表明した」といった類の偽情報もあったことが明らかになっている。

 経済・マーケットに大きく影響する重要な政治イベントの結果を予想する際に手掛かりにしてきた世論調査の数字が以前のようには信用できなくなってしまったという現実に直面して、筆者は大いに困惑している。来年はヨーロッパでフランスの大統領選挙やドイツの連邦議会選挙など、重要イベントが数多い。結果がどう転ぶかわからないという不安心理を従来よりも大きな度合いで抱えつつ、それらのイベントと向き合わざるを得ない。

トランプ氏勝利「良かった」、10~20代日本人男性で約4割

 最近の流行り言葉で言えば「不確実性が高くなった」ということである。来年5月7日に決選投票が実施されるフランスの大統領選挙では、極右・国民戦線(FN)のルペン氏が勝利する可能性も排除できないと、筆者は警戒的にみている。

 日本では今のところ、全国紙やテレビネットワークといった既存メディアの信用度は、ほとんど落ちていないようである。だが、将来はどうなるかわからない。少なくとも、筆者は自信を持てなくなりつつある。

 産経新聞・FNNが11月12~13日に実施した世論調査によると、米大統領選でのトランプ氏勝利が良かったと思うという回答が、10・20代男性で38.9%、30代男性で29.3%に達した。

日本でも若者のマスコミ不信が強まるか

 日本の有権者の年齢構成が中高年層に傾斜していく中で、政治の「シルバーポリティクス」化を嫌う人々(自分たちは損をすると考えている若い世代など)から、一種の破局シナリオを望む声が聞かれることもある。すなわち、このまま漫然と赤字財政を続け、社会保障の延命措置を講じても、人口減・少子高齢化が着実に進む中では、遅かれ早かれ行き詰まるのは目に見えている。それなら、日本の財政は破綻に至るのが避けられないと率直に認めた上で、公的部門の大幅カットなどを一気に進めるべきだとする主張である。戦後日本が「焼け野原」から急速な復興を遂げたことも、そこではイメージされているのかもしれない。

 米国の場合、グローバル化で不利な立場に置かれた人々の不満の蓄積が、状況変化の原動力になった。日本の場合、世代間対立を起点に、既存マスコミへの不信感が若年層を中心に強まる可能性がある。そうしたことも、今のうちからしっかり考えておくべきだろう。