トランプ効果でドル高円安に

 米大統領選でトランプ候補が勝利した後のユーフォリア(高揚感)的な「トランプラリー」の中で、株高・債券安とともにドル高が大幅に進み11月28日午後3時時点では、対円で約112円となっている。

 そうしたあわただしい動きの中で、市場ではまったく注目されなかったものの筆者が気になったのが、11月11日の閣議後記者会見での為替相場に関する麻生太郎財務相発言である。マスコミ各社が報じていたわけだが、ここでは時事通信の記事を引用したい。

米国大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利した後、為替相場はドル高円安に進んだが、麻生太郎財務相は「乱高下が少なく、安定しているという状態が一番だ。緊張感を持ってみていかないといけない」と話した。(写真:ロイター/アフロ)

麻生財務相、為替乱高下をけん制=「5円も動くのは異常」

 麻生太郎副総理兼財務・金融相は11日の閣議後記者会見で、米大統領選でのトランプ氏勝利に伴う円相場の乱高下について、「1~2日で5円も動くのは異常だ。乱高下が少なく、安定しているという状態が一番だ」と述べ、荒い値動きをけん制した。また、「米国がドル高を嫌っていたのは11月8日までは感じていた」とも明かし、次期政権の動向を見極める姿勢を強調した(後略)。

時事通信 2016年11月11日付

 米大統領選挙投票日(11月8日)までは、米国(オバマ政権)が「ドル高を嫌っていた」という話は、ルー米財務長官の度重なる発言や米財務省が議会に提出した為替政策報告における日本についての記述内容から筆者を含む市場の側が推測していた。たとえそれがスムージングオペ(市場の一時的な変動を均(なら)して落ち着かせるための介入)であっても日本の当局による円売りドル買い介入を米財務省は容認しないという、かたくなな姿勢と重なり合う。

 オバマ大統領には、年明けの新議会開会前にレガシーとしてTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の議会承認を取り付けたいという強い思いがあり、議員たちを悪い方向で刺激する恐れが大きい日本の円売り介入はやめてほしいということだったのだろう。