
11月8日、街角の景気実感を示す経済統計である景気ウオッチャー調査の10月分が、内閣府から発表された。現状判断DIは49.5(前月比+0.9ポイント)で、2カ月ぶりに上昇したものの、好不況の分岐点である50は10カ月連続で下回った。また、2~3カ月先の景気見通しを示す先行き判断DIは50.6(同▲0.7ポイント)で、2カ月連続で悪化したものの、こちらは50よりも高い水準はなんとか維持した<図1>。
市場ではほとんど話題にならなかったのだが、エコノミストとして筆者が今回の景気ウオッチャー調査の内容で注目したのは、「消費税率を19年10月に10%へ引き上げる予定になっている」ということを10月15日の臨時閣議で安倍首相がアナウンスしたことによる、消費マインドへのネガティブな影響である。
景気ウオッチャーから寄せられた景気判断理由集には、増税前のコートなど冬物重衣料や高額品などの駆け込み需要に期待をする声がある一方で、予定されている消費増税が消費者のマインドに及ぼす(あるいはすでに及ぼしている)悪影響を指摘する声が、少なからずあった。以下で代表的なものをご紹介したい。
続々寄せられるネガティブコメント
【現状に関するコメント】
- 「2019年10月の消費税再増税がメディアに取り上げられるようになり、市場の購買マインドが低下している」(東京都)(その他小売[ショッピングセンター])
- 「2019年10月から開始される消費税の引き上げにより生活費が2%増加になることへの不安がある」(東海)(通信業)
【先行きに関するコメント】
- 「消費税増税の話題があるため、客が消費に対して前向きになれない。特に耐久消費財は辛抱して使うことが見込まれる」(北海道)(乗用車販売店)
- 「どの業界でも景気が悪いという話しか聞かない。また、消費税の引き上げを来年に控えて、消費者の心中はざわついており、安心して買い物ができる状況ではない。そのため、年末からは厳しい状況になるとみている」(東北)(コンビニ)
- 「最近の客は、低価格で納得がいく物を探していることと、来年10月から消費税が更に2%上がるという状況で、購買意欲は余り感じられず、今後も余り上がってこない。それどころか、これからますます下がってしまうのではないかと心配している」(南関東)(商店街)
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