移民・難民の受け入れについても冷静に考えるべき

 難民の受け入れ過多に対してドイツ国民が不満を強めた結果、メルケル首相の支持率・求心力が低下し、右派政党がこのところ台頭しているのは紛れもない事実である。

 しかし、だからといって移民・難民の受け入れは拒絶すべきだという結論に日本人が飛び付くのは、筆者としてはいただけない。「たくさん食べて経済成長や出生率上昇といった果実を得てきている」ドイツ人が一時的に食べ過ぎて消化不良を起こしていることと、「食わず嫌い」を変えられずに人口減・少子高齢化を事実上放置して経済の趨勢的な衰退に歯止めをかけられない日本。ここは両国の違いを冷静に把握し、認識すべきだろう。

ドイツから学ぶことがある

 伊勢志摩サミットが開催された際には、議長国の日本(安倍首相)がドイツ(メルケル首相)を説得して財政支出を増やさせるべきだという声が、日本の政府内のみならず民間エコノミストからも出ていた。

 だが、経済成長率でも(最新のIMF<国際通貨基金>世界経済見通しで2016年の実質GDPはドイツが前年比+1.7%、日本が同+0.5%)、財政健全化でも(ドイツの2015年の財政収支は1990年両独統合以来最高の黒字となったが、日本は慢性的な赤字)、日本は明らかにドイツに劣っている。また、ドイツにおける労働者の有給休暇取得率の高さと国民生活のゆとりは、以前にこのコラムで取り上げた(2016年8月23日配信「日本人の『有給休暇の消化率』が極めて低い理由」)。

 どうやら話はまったく逆で、「日本はドイツの良好なパフォーマンスから学ぶべきだ」というのが正しいのではないか。筆者の長年の友人であるドイツ人ジャーナリストも先日、それに近いことを口にしていた。