英国のEU離脱決定の時と共通すること

 11月8日に投票が行われた米国の大統領選挙で、共和党のトランプ候補が逆転勝利した。同時に行われた議会選挙では、まず下院で共和党が過半数を確保。上院は民主・共和両党の大接戦になったが、こちらでも共和党が過半数を僅差で維持した。これにより、ホワイトハウス・上院・下院がいずれも共和党の支配下に置かれるという「ねじれ」のない状況が、トランプ氏の大統領就任式が行われる来年(2017年)1月20日に現出することになる。

9日未明(日本時間同日午後)、勝利宣言をしたトランプ氏。「反グローバリズム」「自国第一主義」「反エスタブリッシュメント」などの影響を大きく受けた点で、英国のEU離脱と同じ構図だ。(写真:ロイター/アフロ)

 英国が国民投票でEU(欧州連合)からの離脱を決める直前、残留派のコックス下院議員が殺害されるという痛ましい事件があった。また、米国の大統領選では投票日の直前に、クリントン民主党候補がメール事件の再捜査で訴追されないことが明らかになった。ともに、世論調査でその時に有利だった方(EU残留派および民主党)に勝利ムードが漂い、陣営のタガが緩む方向で作用したと考えられる。投票率にも微妙に影響して、最終結果のサプライズにつながったのではないか。歴史のアヤと言えるのかもしれない。

予想外の登板、“球”を見極める時間が必要

 予想外の「トランプショック」から、金融市場は上下双方向に大揺れとなった。まず大幅な株安・ドル安という「リスクオフ」(リスク回避)の方向で反応。しかし、その後程なく、今度はトランプ氏が公約している景気刺激策などを前向きに評価しながら株高・ドル高の方向へ急速に揺り戻した。次期政権の経済政策の具体的内容(たとえば大型減税やインフラ整備の財源をどうするか)や、財務長官の人選などに、市場は今後目を凝らすことになる。アウトサイダーが予想外に登板するわけで、じっくり見定めるべき点は数多い。

 外交・安全保障面では、ロシア・中国・EU・日本などと米国の関係がどのような方向に向かうのかという、経済政策よりもはるかに次元の高いテーマがある。国際関係の大きな変化(秩序の再構築)は、先行き不透明感の増大を通じて、市場を「リスクオフ」に傾けて不安定化させる要因である。