国債とは異なり満期償還がないETFは「出口」が難題

 ETFの買い入れを日銀が開始して、事実上株価の下支えを試みるようになったのは、白川方明前総裁時代の2010年10月5日の金融政策決定会合で「包括的な金融緩和政策」が決定され、資産買入等の基金が創設されてからである。

 だが、ETFを日銀が継続的に買い入れることに、筆者はこの時から一貫して反対姿勢をとっている。中長期で見た場合の主な問題点には、①円という通貨の信認に直接絡んでくる日銀のバランスシートに信用リスク(および相対的に大きな価格変動リスク)を伴う資産である株式を取り込むのは望ましくないこと、②国債とは異なりETFは満期償還がない資産であるため「出口」が難題になりやすいこと(市場でストレートに売却しようとする場合は株価急落を招かないような規模とペースでしか行えない)、といったものがある。

 その後、黒田東彦総裁時代になり、異次元緩和の下でETFの買い入れ額は急速に膨らんだ。

 ETF買い入れについては上記2点の他にも、③下落方向の株価変動余地を需給面から人為的に狭めていること(前場の商いでTOPIXが下落していると日銀がETF買い入れに動くというパターンが意識されており、相場の下げ幅は抑制される。その帰結として市場は株価の上昇方向を試すことになりやすい)、④日銀が間接保有しており事実上の大株主になったものの「物言わぬ株主」にとどまる場合のガバナンスの問題、⑤浮動株が少なくなった銘柄の相場形成に生じるゆがみ、といった問題点がある。

「継続する必要はもはやないのでは」という見方

 日経平均株価が今年10月に過去最長の16連騰を達成し(このため日銀はしばらくETF買い入れを行えずにいたわけだが)、11月9日前場には400円以上値上がりして2万3300円台に乗せるなど、日本株は堅調に推移。日銀がETFを買い入れてリスクプレミアムに働きかける必要はもはやないのではないかという見方が、市場の内外で多く聞かれる。

 だが、黒田総裁のスタンスは、ETF買い入れはあくまでも「物価安定の目標」2%達成を目指す金融緩和パッケージの中の一要素であって特定の株価水準とリンクしたものではなく、日銀の買入残高は株式時価総額の3%程度にとどまっているから株式市場で大きな問題が生じるような規模ではない、というものである。11月6日には出張先の名古屋で地元経済人に対し、「今の時点で見直しが必要だとは考えていない」と、あらためて明言した。