話は変わるが、足元の金融市場、上記のような政治イベント以外で大きな材料になっているのが、FRB(米連邦準備理事会)による利上げの動向と、トランプ大統領が中国などに対して仕掛けている「貿易戦争」の行方である。

 米大統領は、保護主義的な政策を強引に打ち出すことによって株価下落材料を自ら作り出す一方で、FRBの利上げ路線に対しては公の場で繰り返し批判を行っている。

 もっとも、人事権を用いた介入などは行っておらず、一定の自己抑制は効いているように思われる。この点については当コラム10月23日配信「トランプ大統領、FRB利上げに『文句は言う』が…」で、すでにお伝えした。

 そうしたトランプ大統領によるFRB批判の関連で、米経済紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)の寄稿・投書(オピニオン)欄が、興味深い視点を提供してくれている。

パウエル議長を激励したブラインダー氏

 WSJは10月18日、アラン・ブラインダー元FRB副議長による「FRBは決してクレイジーではない(The Fed Is Anything but Crazy)」と題した寄稿を掲載した。トランプ大統領が「FRBはクレイジーなことをやったと私は思う(I think the Fed has gone crazy.)」と10日に述べたことに反論したものである。

 ブラインダー氏によると、巨大な不確実性が存在する中で、中立金利(経済にとって引き締めにも緩和にもならない水準だと推計される金利)に向けて徐々に、非常に慎重に、いつでも止める用意はしながら利上げを行うという、現在とられている手法は合理的であり、決して大胆でもクレイジーでもない。心変わりしやすいトランプ氏ではなく、用心深い上に思慮深くて知的な人物であるパウエル氏がFRBを率いていることは、米国にとり幸運である。

 そう断じたブラインダー氏は、パウエル氏は理論一辺倒ではなく頑固でもないことから、仮にFRBがミスをしてしまう場合でもそれは小さなものにとどまり、迅速に修正され得るだろうと結論付けた。要するに、パウエル議長への激励であり、トランプ大統領の言動への間接的な批判である。

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