減額、売り戻しは今のところ視野に入ってない

 そして、日銀がETF買い入れを減額したり、買い入れたETFを市場に売り戻したりするようなことは、今のところ視野に入っていない。黒田東彦総裁は、ETFの買い入れは特定の株価水準を念頭に置いたものではなく、あくまで「物価安定の目標」である2%達成のために行っているパッケージの一環だという説明を繰り返している。2%の目標を達成すれば買い入れはとりやめるが、まだそうなっていないから買い入れを淡々と進めるという趣旨である。

 リフレ派が2018年4月の日銀総裁・副総裁交代後に追加緩和模索の動きを強めると予想される中、政策委員会内の勢力バランスにおいてカギを握る人物になっていくとみられる桜井眞審議委員は、10月18日に函館で行った記者会見の場で、日銀のETF買い入れについて次のように述べていた(日銀ホームページから引用)。

 「確かにこのところ株価が上がっていますが、現在、日本銀行がETFを通じて取得しているのは、株式市場の時価総額の大体3%ちょっとです。全体としてみれば、それほどまでに大きいとは考えていません。個別の銘柄では、大きなものもあるということは事実ですが、全体としてみるとまだその程度ですので、今のところ、特にETFについて何か変更する必要があるか考えるのはまだ早いのではないでしょうか」

日銀がETF買い入れの大幅減額に突然、動いたら

 万が一、ETF買い入れの大幅な減額に突然日銀が動くならば、それは株価急落と大幅な円高を招く可能性が高い、まさに「自爆」のシナリオになる。安倍晋三首相が再登板後、総裁・副総裁人事を通じて日銀に「レジームチェンジ」をかけたのは、時期尚早の金融引き締めを行った日銀のトラックレコードを念頭にそうした動きを封じ込める狙いに基づくものだったことを、いま一度想起する必要がある。

 日銀の金融政策が非伝統的手法に相当のめりこんでしまっており、株価水準が人為的に持ち上げられている部分があるだけに、TOPIXは景気の先行指標だという「平時」の常識は、ある程度疑ってかかる必要がある。

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