人口が減っていく日本では消費市場の規模が長期的に縮小していくため、国内での製造業の生産能力は低下傾向にある。国内での製造業への設備投資の伸びにはおのずと限界があるだろう。

日本の場合「実際の設備稼働率」は公表されていない

 経済産業省が10月17日に発表した8月の鉱工業生産確報で、製造工業稼働率指数(季節調整値:2010年=100)は98.7(前月比+2.6%)になり、3か月連続で上昇した。業種別に見ると、8月に堅調だったのは、スマートフォンやパソコンなどIT関連の業種。具体的には電子部品・デバイス工業が前月比+6.6%、情報通信機械工業が同+17.0%である。

 日本の場合、「98%でほぼフル稼働状態だ」というような何%という実際の設備稼働率(実稼働率)は公表されておらず、指数のみを公表する扱いになっている。

 経済産業省はホームページのQ&Aに、以下のように記している。

「実稼働率を公表することについての要望は強いのですが、現在は公表していません。その理由としては、生産活動の形態は各業種様々であり、業種間の比較が困難なことに加え、現行の稼働率指数は月々の稼働率の推移を観察する指標としてほぼ十分ですが、実稼働率の総合的な水準を見るためには、精度が不十分であるためです」

「ただし、製造工業、機械工業、機械工業を除く製造工業について、基準時における実稼働率水準を公表しており、この実稼働率水準に稼働率指数を乗じることによって、その時点における実稼働率のおおよその目安が得られます」

「平成22年基準における実稼働率水準は、製造工業76.7%、機械工業77.6%、機械工業を除く製造工業75.3%となっています」

(経済産業省 鉱工業指数 Q&A)
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/qa.html

指数×実稼働率水準が、実稼働率のおおよその目安

 日本の8月の製造工業の実稼働率としては、指数98.7に76.7%を掛け合わせて出てくる75.7%という数字が、おおよその目安となる。

 米FRB(連邦準備制度理事会)が同じ17日に発表した米9月の鉱工業生産で、製造業(市場がウォッチしており報道でも通常取り上げられるSICベースというカテゴリー)の設備稼働率は74.9%に上昇した(前月比+0.1%ポイント)。8月の改定値は74.8%で、日本の製造工業について計算して出てきた上記の75.7%よりも低かった<■図1>。

■図1:日本と米国の製造業設備稼働率(日本は製造工業、米国は製造業<SICベース>)
注:日本の製造工業の設備稼働率は2010年の実稼働率76.7%を用いた試算値
(出所)経済産業省、米FRB資料より筆者作成