2016年6月1日に消費増税の再延期を発表した時の安倍晋三首相(写真:AFP/アフロ)

 安倍首相は10月15日の臨時閣議で、消費税率を予定通り19年10月に8%から10%に引き上げる方針を表明し、景気対策を具体化するよう指示した。閣議では首相から、「消費税率については法律で定められた通り、19年10月1日に現行の8%から10%に2%引き上げる予定だ」「今回の引き上げ幅は2%だが、前回の3%引き上げの経験を生かし、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう、全力で対応する」という発言があった。

 だが19年10月に予定される消費増税について、安倍首相がこの日に最終的な政治判断を下したわけではない。景気・為替相場の動向次第では、予定通りに消費増税を実施すれば危うい(景気悪化が内閣支持率低下につながって宿願である憲法改正が遠のきかねない)と首相が考えて再々延期を決断する可能性はまだ十分あると、筆者はみている。

 この問題については当コラム10月16日配信「『消費税率10%』は本当に予定通りなのか?」で筆者の見解をすでにお伝えしたわけだが、その後に出てきた注目すべき報道には、以下のようなものがある。

  • 「菅義偉官房長官は臨時閣議後の会見で、記者から『増税実施の最終判断はいつになるのか』と問われ、『(経済)状況を見ながら(首相が)判断されるんだろう』と答え、増税の最終判断はまだ先との認識を示した」「消費税率を8%に引き上げることを政治決断した13年10月、安倍首相は自ら会見を開き、国民に直接理解を求めた。これに対し、今回は閣議での首相支持という形式にとどめており、最後まで増税延期の選択肢を残したいとの意図も見え隠れする」(10月16日 朝日新聞)
  • 「首相はこの日も消費増税を『予定』と表現し、菅義偉官房長官は記者会見で、経済情勢をなお見極める姿勢をにじませた。首相周辺は『首相は最終判断していない』と強調した」(10月16日 毎日新聞)
  • 「景気の腰折れを招けば、残り任期の最優先課題の一つと位置付けるデフレ脱却が遠のきかねない。首相は増税を表明したが、政府高官は『まだ最終決断ではない』と指摘。首相周辺も『基本は増税だが、よほどのことがあれば別だ』と予防線を張った」(10月16日 時事通信)
  • 「『来年は統一地方選や参院選が控える。首相が「延期カード」を行使する可能性は消えていない』(幹部)。トラウマを抱えた経験から、そんな疑念を拭いがたい。財務官僚の偽らざる本音だ」(10月16日 読売新聞)
  • 「複数の与党筋は、消費増税延期とセットで19年夏の参院選が衆参同日選に変更されるシナリオに言及する声が自民党内にあると話す」(10月12日 ロイター通信)