
所信表明演説では「未来」を18回連呼したが…
9月26日に第192臨時国会が召集され、安倍晋三首相が同日午後に所信表明演説を行った。8月2日に決定した「未来への投資を実現する経済対策」の内容が経済政策分野で首相が発するメッセージの軸になり、キーワードの「未来」は、なんと18回も使われた。
その一方で、「デフレ」という言葉が今回の演説に1回だけしか登場しなかったことに筆者は興味を抱いた。そこでこの機会に、安倍首相が13年以降に行った所信表明演説および施政方針演説に「デフレ」という単語が何回登場したかを調べてみた(<図表1>)。
日時 | 演説の場面 | 「デフレ」の登場回数 | 発言内容・文脈 |
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2013.01.28 | 所信表明演説 | 3回 | デフレと円高の泥沼から抜け出せず、50兆円とも言われる莫大な国民の所得と産業の競争力が失われ、どれだけ真面目に働いても暮らしが良くならない、日本経済の危機。 |
私が何故、数ある課題のうち経済の再生に最もこだわるのか。それは、長引くデフレや円高が、「頑張る人は報われる」という社会の信頼の基盤を根底から揺るがしていると考えるからです。 | |||
これまでの延長線上にある対応では、デフレや円高から抜け出すことはできません。 | |||
2013.02.28 | 施政方針演説 | 1回 | 長引くデフレからの早期脱却に加え、エネルギーの安定供給とエネルギーコストの低減に向けて、責任あるエネルギー政策を構築してまいります。 |
2013.10.15 | 所信表明演説 | 2回 | 日本の隅々にまでこびりついた「デフレ」からの脱却は、いまだ道半ばです。 |
しかし、日本人は、いつしか自信を失ってしまった。長引くデフレの中で、萎縮してしまいました。 | |||
2014.01.24 | 施政方針演説 | 2回 | 日本経済も、三本の矢によって、長く続いたデフレで失われた「自信」を、取り戻しつつあります。 |
「経済の好循環」なくして、デフレ脱却はありません。 | |||
2014.09.29 | 所信表明演説 | 1回 | 引き続き、デフレ脱却を目指し、「経済最優先」で政権運営に当たっていく決意であります。 |
2015.02.12 | 施政方針演説 | 2回 | デフレ脱却を確かなものとするため、消費税率10%への引上げを18か月延期し、平成29年4月から実施します。 |
15年近く続いたデフレ。その最大の問題は、日本人から自信を奪い去ったことではないでしょうか。 | |||
2016.01.22 | 施政方針演説 | 1回 | 「より安く」を追い求める、デフレ型の経済成長には、自ずと限界があります。 |
2016.09.26 | 所信表明演説 | 1回 | アベノミクスを一層加速し、デフレからの脱出速度を最大限まで引き上げてまいります。 |
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