日銀が9月21日に「長短金利操作付き量的・質的金融緩和(英語ではQuantitative and Qualitative Monetary Easing with Yield Curve Control)」という長い名称の新しい金融政策の枠組みを導入してから、3週間ほどが経過した。「短期決戦」でカタをつけるという黒田東彦総裁らの当初の目論見が失敗に終わったため「長期戦・持久戦」対応に枠組みを修正したこと、そのために「量」(マネタリーベース)の位置付けを落として「金利」の操作へと軸足を事実上シフトしたのが、今回の修正の根幹である(当コラム9月27日配信「日銀『長期戦』で、ますます続く『カネあまり』」ご参照)。

物価上昇率2%を目指す「黒田日銀」は、大規模緩和の導入から約3年半がたっても物価が思うように上昇しない現状をふまえ、「長期戦・持久戦」対応に枠組みを修正した。(写真:都築雅人)

日銀の「高望み」に、為替相場はむしろ円高ドル安へ動いた

 だが、マイナス金利の深掘りといった明確な追加緩和が伴わなかったことや、そもそも金融緩和の維持・強化・調整だけで2%の「物価安定の目標」という日銀の「高望み」が実現するとは考えられないという多くの市場参加者が下した素直な結論ゆえに、為替相場はむしろ円高ドル安に動いた。同じ21日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が終わった後で明らかになった「ドットチャート」(FOMC参加者による向こう数年の政策金利推移見通し)がさらに下方シフトしたこと、すなわち日米金利差がこの先拡大する余地が縮小したことも、円高ドル安に寄与した。

 ここでは、日銀の決定内容に関して、Q&A方式で追加のコメントを行いたい。

Q1:──新しい枠組みの下での円金利のイールドカーブ形成について、どのように考えるべきか。

10年超の金利は、上下双方向に一定の許容範囲

A1: 翌日物金利は▲0.1%(日銀当座預金のうち政策金利残高部分に課されているマイナス金利の水準)、10年物国債利回りは「ゼロ%程度」と、円金利のイールドカーブは2か所でペッグされる(いわば「虫ピンでとめられた」)形になったわけだが、10年超のエリアについては9月21日に日銀金融市場局が出したペーパー「2016年9月中の長期国債買入れ等の運営について」の記述「イールドカーブが概ね現状程度の水準から大きく変動することを防止する」などから考えて、9月の金融政策決定会合直前の金利水準を基本線としながら、上下双方向に一定の許容範囲が設けられることになったと見込まれる。

 言い方を変えると、翌日物から10年までは、イールドカーブがある程度自動的に決まってくる。むろん、円資金を深いマイナス金利で調達できる海外投資家の買いや将来のマイナス金利深掘り観測によって、国庫短期証券(TDB)や2年債のマイナス幅が▲0.1%よりもかなり大きくなっている、つまりこのエリアのイールドカーブが直線状ではなく下方に膨らんでいる状態は、従来通り許容される可能性が高い。