首相官邸との間で余計な波風は極力立てたくない

 選挙の洗礼を経ていない中央銀行のトップが財政の問題に口を出すのははばかられるという考えがベースにあるのだろうが、それだけではあるまい。大阪で「デモクラシー」という単語を複数回口にしつつ、黒田総裁が踏み込んだ発言を避けた背景には、2018年3~4月に日銀総裁・副総裁人事を控える中、首相官邸との間で余計な波風は極力立てたくないという思いがあったのではないか。

 また、政治的現実として、政府(というより安倍首相)の方が日銀よりも明確に上位にあり、「中央銀行の独立性」というのは政府とインフレ目標を共有した上で日銀が有する「金融政策の手段の独立性」だという考え方が事実上採られている。

 そうした中では、仮に黒田総裁が政府の財政運営に大胆に注文を付けてそれがマスコミ報道で大きく取り上げられる場合も、結局は上位者たる首相およびその周辺の反感を買うだけに終わってしまうのではないか。

戦後日本の大きなターニングポイントに

 経済政策に関する日本の景色は、一昔前と比べ、あまりにも大きく変わってしまっている。

 安倍首相は9月25日の記者会見における事前表明を経て28日召集の臨時国会の冒頭で7条解散に踏み切った。10月22日投開票となる今回の衆議院議員選挙は、数えて48回目になる。大日本帝国憲法の下で行われたのが、1890年(明治23年)の第1回から1947年(昭和22年)の第23回まで。日本国憲法の下で行われたのが、第24回から第47回まで。2014年の「アベノミクス解散」で、新憲法下の衆院選は24回となり、旧憲法下の23回を上回った。

 第48回となる今回の衆院選は、憲法改正、外交・安全保障、財政政策のいずれにおいても、戦後日本の大きなターニングポイントになるのではないか。筆者はそうした思いを日々強くしている。