「政府による財政再建に向けた着実な取組みを期待」

■2016年6月16日 黒田日銀総裁記者会見
[8%から10%への消費税率引き上げ時期を2017年4月から2019年10月へと、再度、今度は2年半延期することを、安倍首相が6月1日に正式表明した約2週間後]

 「これは消費税の扱い全体がそうなのですが、具体的な財政運営は、政府・国会において議論され決定されるものですので、私から具体的な意見を申し上げることは差し控えたいと思います。その上で、一般論として、国全体として財政に対する信認をしっかり確保するということは重要だと、私は思っています。この点、総理は、先日の記者会見において、世界経済が直面するリスクに備える観点から、消費税率引き上げの延期を表明されたわけですが、同時に2020年度のプライマリーバランスの黒字化を目指すという財政健全化目標は堅持すると明言されています。日本銀行としては、こうした政府による財政再建に向けた取組みが着実に実行されることを期待しています」

 「なお、財政規律云々の話は、先程申し上げた財政運営そのものの話でありまして、これはあくまでも日本の場合は政府と国会において議論され、決定されるものであり、そこでしっかりした財政規律を引き続き確立していかれるものと考えています」

「私から何か具体的なことを申し上げるのは差し控えたい」

■2017年9月25日 黒田日銀総裁記者会見(大阪)
[10%への消費増税に伴う増収分の使途拡大・財政健全化目標先送りを、安倍首相が記者会見で正式にアナウンスする直前]

 「大前提として、財政政策、ご指摘のような歳出・歳入を含めた財政の姿というのは、デモクラシーのもとでは政府、国会が責任をもって決めるものです。そうした政策については、デモクラティックなコントロールが効いており、中央銀行の行動が、財政に関する政府、国会の決定や財政運営に影響を及ぼす、あるいは及ぼし得るため、それを勘案して金融政策を決めるといったことは全く考えられないと思います。デモクラシーのもとでは、あくまで政府、国会が財政運営を決めていくということだと思っています」

 「消費税の使途や、財政、税制の問題については、先程来申し上げている通り、デモクラシーのもとで、政府と国会が責任を持って決めることですので、私から何か具体的なことを申し上げるのは差し控えたいと思います」

 こうして時系列で追ってみると、黒田総裁の今回の発言内容は腰がかなり引けているように感じる。2014年と2016年にあった財政健全化目標への言及が、今回は見当たらなかったことに留意されたい。