【仮説2】 若い世代で考え方が変わってきており、従来の「常識」が通じにくくなった

 少し前になるが、8月22日に産経新聞が掲載した「内閣支持『男高女低』続く」と題した世論調査の分析記事は、興味深かった。同月19~20日実施の世論調査によると、男性では安倍内閣支持が48.3%で、不支持の46.1%を小幅上回った。だが、女性では支持が39.5%にすぎず、不支持は51.7%だった。

 こうした性別による考え方の差の問題は、AI(人工知能)の研究者である黒川伊保子氏の著書『女の機嫌の直し方』(集英社インターナショナル新書)に詳しいのだが、要約して言えば、男女では脳の構造に差があり、男性が「結果重視」である一方、女性は「経過(プロセス)重視」なのだという。森友・加計学園の問題について女性の有権者は、それが日本の経済に最終的にどのような影響を及ぼすのかという結果の大小ではなく、途中経過や国会での説明の仕方などの方を問題視して、「安倍離れ」したのだと考えられる。

 また、上記の記事によると、安倍内閣の支持率を分析すると「若高老低」も顕著だという。男性では30代以下の支持率が50%を超えている一方、40代以上ではすべて50%未満である。また、女性では10・20代が48.5%だが、30代~50代は30%台前半にとどまる。

世代間の考え方の相違と「社会の分断」

 言うまでもないが、安倍内閣は外交・安全保障や憲法の問題で、右寄りの政権である。戦後日本が経済重視の中で長く抱いてきた価値観の刷新を実現しようとしていることは、若年層の目には新鮮に映る一方、中高年齢層の多くには既存秩序の破壊に映りがちだろう。

 世代による考え方の相違という側面から、「社会の分断」が日本でも起きつつあるのではないか。

 また、それが良いか悪いかは別にして、従来からの「常識」を前面に出しがちな伝統的メディア(新聞やテレビ)との接し方も、若い世代では今後ますます変わってくると予想される。最近の新入社員の多くは、受験と就活のとき以外は、新聞を読まないようである。スマホとパソコンは必需品だがテレビは持っていない人も、少数だが見受けられる。日本でも米国のように、ときに情報の質に偏りが生じる場合もあるSNS経由の情報の重みが、将来はどんどん増していくのではないか。

 さらに言えば、そうした若い世代では「物事を疑ってみる」という発想が欠如しているのではないかと考えられる節もある。世論調査からうかがえる国民の現状満足度の高さと、日本の歴史学の実情に関するベテラン研究者のコメントをもとに、少し最後に考えてみたい。

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