消費税率を引き上げた時、増税分の使途に「子育て支援」などを加えることに「賛成」が「反対」を上回ったけれど…。(写真:PIXTA)

借金の元本を減らさなくていいのか?

 日本経済新聞の9月25日の朝刊から、同月22~24日に実施された世論調査で消費増税の使途拡大への賛成が6割近くに達したことを知って筆者が抱いたのは、意外感ではなく、「やはりこのような結果が出てきたか」という感慨だった。

 安倍首相が2019年10月に10%への消費税率引き上げを予定通り実施し、増税分の使い道に子育て支援や教育無償化の財源を加える方針であることに「賛成」は59%で、「反対」の31%を上回った。内閣不支持層でも「賛成」(48%)が「反対」(41%)を上回った。

 筆者のような世代の常識からすれば、全額返済できるかどうか自信が持てないほど多額の借金の残高をすでに抱えており、金利が上昇すればまさに「アウト」という状況の中で、仮にまとまった収入があるようなら、できるだけ元本を消しにいくのがベストの選択である。住宅ローンを抱えている人なら、容易に理解できるだろう。

 だが、元本を消しに行く割合を落として、これまでよりも幅広い使途に振り向けて使ってしまってもかまわないと考える有権者が、6割近くになった。どう理解すべきか。2つの仮説が成り立つだろう。

増税分を「借金返済以外に振り向けてOK」の理由とは

【仮説1】 国民の側でも財政規律が緩んできている

 一番素直な理解は、日銀の大規模な国債買い入れと「イールドカーブ・コントロール」の下で、財政規律の緩みに警告を発する機能を債券市場が喪失しており「悪い金利上昇」が全く起こらない中で、国民の側でも財政規律への意識(特に、膨大な債務をすでに抱えてしまっているという事実の認識)が弱まってきているという解釈だろう。

 雇用情勢が引き続ききわめて良好である上に、わかりやすい景気のインディケーターである株価は、海外投資家が売り越しを続けている中でも、日銀の大規模なETF(上場投資信託)買い入れにより下支えされており、足元では衆院の解散などが買い材料視されて上抜けした。雇用情勢を見る限り「アベノミクス」はここまではうまく運んでいるように見え、消費増税の使途拡大についてもあえて反対する理由はなさそうだというのが、少なからぬ有権者の受け止め方なのだろう。