東証1部時価総額は今年6月末時点で593兆4957億円(同じ時点のTOPIXは1611.90)である。この時価総額が500兆円を超える局面が長く続いて定着したことはない<■図1>。もっとも、上場企業数・上場株式数が時間の経過とともに普通は増えていくことを考えると、持続可能な「天井」がだんだん高くなっていく面があることも否めない。

■図1:東証1部時価総額(月末、普通株式ベース)
■図1:東証1部時価総額(月末、普通株式ベース)
注:2001年までは整理銘柄を除く。(出所)JPX
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 そこで、実物経済の代表的な数字との比率をチェックして、マネー経済が「水膨れ」している兆候の有無を見るわけだ。東証1部時価総額の4-6月期名目GDPに対する比率は109.3%<■図2>、名目GNIに対する比率は105.8%である<■図3>。

■図2:東証1部時価総額(四半期末)の名目GDP(国内総生産)比
■図2:東証1部時価総額(四半期末)の名目GDP(国内総生産)比
(出所)内閣府、JPX資料より筆者作成
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■図3:東証1部時価総額(四半期末)の名目GNI(国民総所得)比
■図3:東証1部時価総額(四半期末)の名目GNI(国民総所得)比
(出所)内閣府、JPX資料より筆者作成
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 いずれも基準となる100%を超えており、割高感ありと判断される。

株価水準が人為的にかさ上げされた不自然な状況

 ただし、「だからTOPIXは急落するはずだ」という結論になるわけではない。日銀による大規模なETF買いによって、日本の株価は需給面からPKO(プライスキーピングオペレーション)的に持ち上げられており、これが終わる時期が全く見えないからである。日銀が掲げている2%の「物価安定の目標」が達成されるメドが全く立たない以上、異次元緩和は事実上エンドレスの状態である。したがって、株価水準が人為的にかさ上げされた不自然な状況は、予見し得る将来、このまま続いていくことになるだろう。

 最後に、為替相場についても状況を見ておきたい。債券市場や株式市場に比べ、一国の政策当局がこの市場を牛耳るのは、きわめて困難である。それでも、2%の物価目標達成の「短期決戦」に失敗した日銀は、昨年9月に「長期戦・持久戦」態勢に切り替えることによって、向こう数年間の日本の金融政策のベクトルを「緩和方向」に事実上固定し、持続的な円売り圧力を市場で生みだすことに成功している。

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