女子と3浪以上の男子受験者の合格者数を抑制していた東京医科大学。しかし……(写真=AP/アフロ)

 東京医科大学を舞台とする「裏口入学」・文部科学省幹部の汚職(受託収賄)事件は、8月に入り、女性合格者を減らすため得点を一律減点していたという驚くべき事実の、読売新聞によるスクープ報道につながった。しかも、他の大学の医学部においても、男女で合格率の差が大きいケースが目立つ。

 女性が苦手とすることが多い数学の配点を高くしたり、面接を重視したりすることで男女比を調整する(女性合格者を減らす)というテクニックが用いられることもあるという。9月4日に公表された文部科学省による緊急調査結果(速報)によると、18年春の入試では全国国公立大学の約7割にあたる57校で、男子の合格率が女子を上回った。過去6年間では8割弱(63校)である。

 医学部合格を目指して必死に勉強してきた女性受験者には、憤懣やるかたない話だろう。ところが、上記のスキャンダルに関して、世の中の盛り上がり方は今一つである。その最大の理由は、実際に医療業務に従事している女性医師の側から「女性合格者を大学が減らそうとするのは現場の状況からすればやむを得ない話だ」というような、あきらめに近い感想が少なからず聞こえてくる(しかもそれが報道されている)からだろう。実際、筆者が知人(医学部4年女子)にたずねてみたところ、そうした反応だったため、拍子抜けしてしまった。

物分りのよい女性医師たち

 女性の医師を応援するWEBサイトが8月上旬に行ったアンケート(回答した医師103人のほとんどが女性)では、東京医科大の不正入試についての回答「理解できる」「ある程度理解できる」の合計が65%に達し、「理解できない」「あまり理解できない」の35%を大きく上回った(AERA 8月27日号)。

 私大医学部の入試には同時に、その大学の大学病院の採用試験という意味合いもあるとされている。医師国家試験に無事合格できれば、医学部卒業生の多くはその大学の医局に入り、大学病院や系列・提携先の病院などに勤務先が決められる。勤務実態が特にきついとされているのが外科である。外科の男女比を見ると、女性の比率が目立って低い。

 05年頃に東京医科大の系列病院に1年半ほど勤務した女性外科医は、午前7:30~午後10:00の勤務が週6日、入院患者を受け持つ期間は休日も出勤していたという。非常にきつい職場であり、結婚・出産を機に仕事と育児の両立をあきらめて、医師を辞める女性が少なくない。

 同大学幹部によれば、「学内には、以前から女性が増えると外科が潰れるとの声があった」。「どの大学も同じはずだ」「感情論では国民の役に立てない」「女子の合格者が増えれば、医局で戦力になる人員が減り、必ず現場にしわ寄せが来る」といった幹部のコメントも、合わせて報じられている(8月30日 読売)。