「北朝鮮リスク」は短期的なものではなく、「常にそこにある」リスクとなった。(写真:ロイター/アフロ)

「内憂」:人口減・少子高齢化

 1990年から筆者はマーケットエコノミストを銀行・証券で務めており、「チーフマーケットエコノミスト」という肩書きを1994年に日本で初めて名乗った「元祖」である。その筆者が内外の市場関係者と意見交換する際などに最近あらためて痛感するのは、日本は「内憂外患」に陥ってしまったということである。

 まず、「内憂」、国内で日々じわじわと進行している実にやっかいな危機が「人口減・少子高齢化」である。

 東京などの大都市圏や地方中核都市だけを見ていても、日本の未来図は全くわからない。人口減や高齢化の面で一部の人口増加地域や日本全体よりも前を走っている「先進地域」秋田県を取り上げた本、『依存症の日本経済』を2009年に執筆し、筆者は他のエコノミストよりもかなり早い段階で強い警鐘を鳴らした。だが、日本経済の地盤沈下を止めようとするような強力な政治的リーダーシップは、その後もいっこうに発揮されていない。

人口問題の理解には「日常とは別の視点」が必要

 そうした空しい時間が過ぎ去る中、人口推計を行っている国立社会保障・人口問題研究所を編者とする書籍『日本の人口動向とこれからの社会』が今年5月に出版された。人口問題のプロである彼らが抱いている危機感に満ち溢れており、その内容に筆者は大いに共感させられた。重要な部分を選び出して引用したい。

 「人口減少や人口高齢化という変化は、“イベント”ではなく、“プロセス”なのである。しかもこのプロセスは、私たちの日常感覚を遥かに超えた数十年あるいは百年単位であるから、その変化の真の姿を理解するには、日常とは別の視点を持たないと難しい」

 「日本社会は、今のままでは、いずれ存立すら危うい事態に立ち至る」

 「この人口減少の社会経済に対するインパクトは、一般には、たとえば労働力供給や市場規模の縮小などによる経済成長の阻害、自治体や地域コミュニティの機能低下などが挙げられる」