その関連で、NHKが8月29日に放映したニュース「SNSで異なる立場の意見は逆効果 米研究G発表」が注目される。

 米デューク大学などの研究グループは、SNSで自分の政治的な立場に近い意見しか読まない人が多いことに注目。1600人余りを対象に、立場が異なる人の意見にSNSで目を通す実験をし、科学雑誌「アメリカ科学アカデミー紀要」に結果を発表した。

異なる意見に触れるほど、自分の意見に凝り固まる

 実験でわかったのは「人はSNSで自分の政治的な立場に近い意見ばかりを読みがちで、異なる立場の意見を継続的に目にすると、それを受け入れるのではなく、かえって自分の立場に凝り固まる」という点。特に共和党支持者は「かえって自分の意見に凝り固まる傾向が見られた」。「SNSで異なる立場の意見を伝えようという試みは、逆効果だ」。

 これは実にやっかいな話である。自分の考えに沿った情報しか見聞きしようとせず、反論に出くわすとますます凝り固まってしまう。妥協や和解の糸口をつかむのは難しい。そして、世論の分断とその固定化、政治的対立の先鋭化と社会の「空気」の重さは、なにも米国に限った話ではない。日本でも遅かれ早かれ起きることなのではないかと、筆者は危惧している。

 金融市場もまた、「トランプ流」に振り回されている。ツイッター経由のものも含め、トランプ大統領から強く非難されて経済制裁などに直面した国の通貨が急落する場面が、しばしば見られている。

 この夏、激しい値下がりが注目されたのが、トルコリラである。4割を超える急落ぶりで、ビットコインなど仮想通貨の値動きがかすんでしまい、ほとんど話題に出なくなるほどだった。トルコリラロング・円ショートのFX取引の損失確定とみられる動きも、日本時間の早朝に何回か観察された。

 トルコリラ急落が「伝染(contagion)」への警戒感を広げるまでは、アルゼンチンペソとトルコリラの値下がりは数ある新興国の中でも「特殊事例」「個別案件」という認識でいた市場関係者が多かったように思う。しかし、リラ急落の関連で出てきた南欧の金融機関のトルコに対する与信ポジションへの懸念などから、トルコ情勢がより大きな「リスクオフ」材料として意識されて、米欧を中心に株安・債券高が進行する場面もあった。新興国通貨では、インドルピー、南アフリカランド、ブラジルレアルなども売りを浴びた。

トルコのエルドアン大統領は強気

 これまでのところ、トルコのエルドアン大統領は強気の姿勢を崩していない。8月10日の米紙ニューヨークタイムズへの寄稿では、「米国が一方的で失礼なやり方を改めないなら、新たな友人と同盟国を探すことになる」と記述。13日の演説では、トルコは新たな同盟関係を追求しており、中でもロシアとの関係は一段と進展したと強調しつつ、トルコと中国がそれぞれの経済目標を連携させることにより両国の協調関係を深める新たな好機が生まれるとした。

 また、11日の演説では、「トルコは崩壊も破綻もしておらず、危機には陥っていない」とし、「通貨の策略」から抜け出す方法は生産を拡大し「金利を最小に抑える」ことだと明言。リラの防衛に必要不可欠とみられる金利引き上げに否定的な姿勢を崩していない。トルコ共和国中央銀行(CBRT)は大統領からの政治的なプレッシャーが強いため、まとまった幅では利上げできないと市場はみなしている。