テルアビブの空港に行きたいのだが…

 シェルートと呼ばれる乗り合いタクシー(旧市街のイスラム教徒はセルビスと呼んでいる)は、土曜も動くことに一応なっている。だが、この日に働くことができる運転手の絶対数が少ない関係で(後述するタクシーの事例から考えてユダヤ教徒でない人が運転するのだろう)、運行台数はどうしても限られる。前日までにテルアビブ行きの予約受付は完全に終えてしまったようで、土曜の朝にホテルの人に頼んで電話をかけてもらったが、誰も電話に出なかった。

 筆者はこの日に、テルアビブ・ベングリオン空港からモスクワ・シェレメチェボ空港に飛ぶ航空券を持っていた。タクシーに乗ってテルアビブに向かう手もあるわけだが、お金がけっこうかかる。

 イスラエルの昨年の経済成長率は前年比+4.0%という高さだが、物価は近年下落している(7月の消費者物価指数は前年同月比▲0.7%)。インフレ目標が+1~3%なので、イスラエル中央銀行は政策金利を0.1%という超低水準に据え置いている。

空港バスだけは動いている? その考えは甘かった

 だが、物価の変化率ではなく水準に関して言うと、イスラエルは食品・日用品、ホテル代などの価格の水準が、総じてかなり高い。たとえば500ミリリットル入りのミネラルウォーターは7~8シェケル、日本円換算で約210~240円もする。

 タクシーは最後の手段ということにして、旧市街にあるホテルから新市街まで、荷物を抱えながら、とりあえず歩いてみた。前日に旧市街のツーリスト・インフォメーションで、485番のバスが新市街のバスターミナルからテルアビブの空港まで出ていると教えてもらったこともある。インフォメーションの男性は反論を許さない調子で「毎正時にバスは出る」と筆者に言い、安息日のことには一言も触れなかった。

 外国人の観光客も多いわけだし、空港バスだけは動いているのだろうと筆者は早合点してしまったわけだが、考えが甘すぎた。バスターミナルの周辺は、人がまばら。さらに言えば、そこまで歩いていく途中の中心街で走っている車はほとんど見かけなかった<写真2>。

写真2
写真2
安息日には人も車も街中でほとんど見かけなかった。

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