筆者は個人旅行で8月中下旬にイスラエルおよびパレスチナ自治区を訪れた。その顛末については、当コラム8月29日配信「中東混迷の原因は『宗教ではなく政治』との声も」ですでにお伝えしたわけだが、ここではその続編として、イスラエルで筆者が驚かされたことを1つご紹介したい。

金曜日の夕方から丸一日、公共交通機関も止まる

 それは、ユダヤ教徒の「シャバット」(安息日)である金曜日、日没が基準になるので実際には金曜日の夕方から土曜日の夕方~夜までの徹底ぶりである。ショッピングセンターも普通の小売店もレストランも、ほぼすべて閉店となる。公共交通機関はストップし、街は驚くほど静かになる。

 旧約聖書の出エジプト記と申命記に出てくる「モーゼの十戒」には、4番目に安息日が書かれており、この聖なる日には何の仕事もしてはならないとされている。ユダヤ教の祝祭日はいろいろあるのだが、十戒に明記されているのはこの安息日だけなので、非常に重要な日となっており、これがなければユダヤ教やユダヤ人の歴史は途絶えていただろうとさえ言われている。それだけ宗教的・歴史的に重みのある日が毎週1回という高い頻度で、必ずやってくるわけである。

 エルサレムの新市街を走るLRT(近代的な路面電車)は、金曜の夕方になると運行を終了する。最後は操車場のある方に向かう電車だけしか走らなくなり<写真1>、それも途絶えてしまった。自動販売機はそのまま24時間稼働していて何の注意書きもない。反対側の乗り場でチケットを買ってしまった筆者は、泣き寝入りを余儀なくされた。

写真1
2011年に開業した、イスラエル・エルサレムの次世代型路面電車LRT。金曜の夕方になると運行を終了する。(写真=筆者撮影、以下同)