入場できないリスクも

 しかもその場合、未知の人物とのチケット受け渡しでトラブルが発生するリスクや、会場で当日行われる本人確認手続きが厳しい場合に入場できないリスクが伴う。

 上記の関連で、以下の報道が出ており、法制上の不備などを理解するのに有用である。

◆「音楽業界ではこれまで、転売対策として、一部のコンサートで入場時に本人確認を行うシステムなども導入していますが、コストが増える分、チケット代を上げざるをえなくなる場合もあるほか、中には、本人であることを証明するものを貸し出してまでチケットを転売するケースも出てきているということです」「公共の場でチケットを転売する『ダフ屋行為』は、多くの都道府県の条例で禁止されていますが、インターネット上の転売は想定されてきませんでした」「業界団体は今後、政府や自治体に対して必要な法整備などを求めていきたいとしています」
(NHK 8月23日)
◆「転売問題に詳しい谷原誠弁護士によると、ダフ屋行為は多くの都道府県が迷惑防止条例で禁止しているが、『駅やチケット売り場などの公共の場』での転売を禁じているケースが多く、ネットで買ってネットで転売した場合は対象外と解釈されるという」
(朝日新聞 4月7日)

◆「4つの団体は対策として、電子チケットによる本人確認の厳格化や、ファン同士が定価に近い価格で売買できるサービスの導入などに取り組んでいくとしている」
(共同通信 8月23日)

「最新技術」は根本的問題の解決にはつながらない

 悪意があり不当な利益を得ている人を取り締まるという意味で、「ネットダフ屋」も対象になるように条例改正などを行うことは、確かに必要である。チケットを電子化した上で顔認証システムを普及させるなど、最新技術を用いた対策も、今後広がっていくだろう。

 しかし、ここで1つ留意する必要があると筆者が強く思うのは、そのことはチケットの需給ひっ迫という根本的な問題の解決には全くならないという点である。

 年齢が低く可処分所得も少ない学生・生徒にとってはとりわけそうだが、コンサートなどの料金が近年高騰していることは、もっと問題視されてしかるべきだ。会場で販売される関連グッズの価格帯も、かなり高めである。好きなアーティストのチケットをほぼ確実に入手しようとしてファンクラブに入会すれば、お金がまたかかる。

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