各地で残暑が続く(写真=つのだよしお/アフロ)

 気象庁のホームページにアクセスして日本の観測史上の最高気温に関する「歴代全国ランキング」を見ると、上位には今年の夏に記録した数字が目立つ。第1位が埼玉県熊谷の41.1度(7月23日)。横並びで第2位になっている3つの41.0度のうち1つは、2013年8月の記録だが、残り2つは今年のもので、岐阜県美濃と岐阜県金山(ともに8月8日)。第6位には東京都青梅(7月23日)と新潟県中条(8月23日)の40.8度が入っている。

 筆者が住んでいる東京でも今年の夏は最高気温が35度を超える日がけっこうあったので、その日の天気予報で最高気温が32度止まりだったりすると「今日は楽だな」と思うようになってしまった。基準となるレベルがシフトすると、人間の心理、事象の受け止め方は変わってくる。サーベイ(アンケート調査)系の経済指標を長い時系列で見る際に、注意しなければならないことにも通じる。

 ここでは3つの手がかり、すなわち、①景気ウォッチャー調査、②販売・外食関連業界統計の7月分、③情報会社QUICKが上場企業を対象に8月に実施した調査であるQUICK短観の結果をもとに、今年の「猛暑」「酷暑」が日本経済に及ぼした影響を考えてみたい。

①7月の景気ウォッチャー調査

 内閣府が8月8日に発表した7月の景気ウォッチャー調査(調査客体2050人)で、現状判断DIは46.6(前月比▲1.5ポイント)。先行き判断DIは49.0(同▲1.0ポイント)。ともに節目の50を下回った。現状については「平成30年7月豪雨によるマインド面の下押し」、先行きについては「人手不足、コストの上昇、平成30年7月豪雨の影響等に対する懸念」が、悪材料として公表資料の要約部分(サマリー)に明記された。

「猛暑効果」の負の側面

 だが、以前は考えられなかった高い気温が7月から8月に観測された中、「猛暑効果」の負の側面も、景気ウォッチャーが寄せたコメントの中から浮かび上がった。ホームページで公表されている7月調査についての「景気判断理由集(現状)」に筆者がキーワード検索をかけたところ、「猛暑」を含むものが179、「酷暑」が41、「異常な暑さ」が11、合計231という結果だった。「 〃 (先行き)」は114+22+3で、計139である。

猛暑が個人の行動にネガティブな影響を及ぼしているという類の報告で、筆者の印象に強く残ったのは、以下の2つである。あまりの暑さによる脱力感がにじみ出ている。

・「酷暑のため、何に対しても動きが鈍くなっているように感じられる」

・「前半は雨、後半は猛暑で客足は伸びず、客に買物をする元気がない」

■図1:毎年7月の平均気温の平年差 関東甲信地方・東海地方
(出所)気象庁

また、高齢者を中心に外出を控えるようになった点を指摘する声が、多数あった。

・「連日、異常な猛暑で、屋外の活動を控えるようにといった報道もあり、外出を控える様子がみられる」

・「猛暑続きや台風で年配者が外出せず、売り上げに響いている。(後略)」

・「3カ月前と比べて、来客数の落ち込みが極端にひどい。今月は猛暑で、日中があまりにも暑く、高齢の客に来店してもらえないような状況である。(後略)」

・「最近の猛暑で客が激減している。延べ数で1000人だった来場数が800人くらいまで落ち込んでいる。単に高齢者層が家から出なくなった可能性もある」

・「異常な暑さで日中の外出を控えている人が多く、売り上げに響いている」

・「猛暑のため買物時間が日中から夜間に移行し、全体的に来客数は減少している」