安息日は公共交通機関も観光地も休み
エルサレムの旧市街は、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教という3つの宗教の聖地が狭い地域内にすべてあることから、観光客を世界中から多数集めている。
イスラエルには「シャバット」と呼ばれる安息日がある。基本的には金曜日だが、日没が基準になるので、金曜の夕方から土曜の夕方にかけて公共交通機関がすべて止まるほか、ユダヤ教やイスラム教関連の観光地は閉まってしまう。中でもイスラム教の聖地である神殿の丘(有名な岩のドームがある)は金・土がともに休みなので、滞在時間が限られる筆者は木曜のうちに、これらの観光地巡りを急いで行うことになった。
イスラム過激派などによるテロへの警戒から、ユダヤ教の聖地である嘆きの壁に入る際は所持品検査がある。また、旧市街の門の入り口など要所にはイスラエルの武装警察官が多数立っている。みな小銃や軽機関銃を所持しており、漂う緊張感が日本の警官とは段違いである。アラブ系の男性が誰何されてボディチェックを受けている場面も何度か目撃した。7月下旬にはイスラム教の聖地である神殿の丘の入り口にイスラエル当局が金属探知機を設置したことにムスリムが猛反発し、治安部隊との衝突で3人が死亡する事件などが発生している。
嘆きの壁は、5月に米国のトランプ大統領が現職の大統領として初めて訪れたことで、あらためて注目された。同大統領の娘婿であるクシュナー大統領上級顧問はユダヤ系である。信者でない者も、ユダヤ教徒がかぶるキッパという小さな帽子を借りてかぶることで、壁に近づくことができる。ただし、男性は左、女性は右に、エリアが区切られている。この日は何かのお祝いだったようで、歌い踊る集団がときどき出現していた。筆者はユダヤ教に静かなイメージを抱いていたのだが、どうやらそうではない面もあるようだ。もっとも、左方の建物の中は図書館や読書室になっており、ユダヤ教徒の正装で教典らしきものを熱心に読む男性の姿が多数あった。
また、十字架が立てられた場所やイエス・キリストの墓がある聖墳墓教会が終着点である「ヴィア・ドロローサ(悲しみの道)」には、筆者のような観光客に加えて、世界中からさまざまな宗派のキリスト教信者が集まってきており、熱心に祈る姿が印象に残った。
Powered by リゾーム?