丹東駅前で夕陽に浮かび上がる毛沢東の巨大な像(筆者撮影)

 7月21日、筆者は成田から中国・大連に飛び、地下鉄で大連北駅まで移動してから新幹線に乗って、夜に丹東入りした。鴨緑江沿いにある、対岸が北朝鮮の都市である。ここを訪れるのは約3年ぶり。前回の訪問時は、新幹線がまだ営業運転していなかった。

 南北および米朝首脳会談を経て、北朝鮮リスクは現在では市場でほとんど意識されなくなった。中国と北朝鮮の関係が改善する中で、丹東では経済制裁の緩和をにらんだ不動産投機熱が盛り上がっていると、日本の複数の新聞が報じている。たしかに現地には斬新なデザインの高層マンション群が鴨緑江沿いにあるほか、新たなビルの建設も活発である。現地に足を運び、どのような変化が起こっているのか探ってみた。

 中国の景気の現状などについても、今回見聞きしたことの一部をここでご紹介しておきたい。

新聞を読んでいる人は皆無

 大連のショッピングの中心は、地下鉄のハブでもある西安路。ファッション系のテナントが多数入った大型店がいくつもあり、人も車も多い。躍進している中国のスマートフォン企業の大きな看板がいくつも掲げられている。そこで、この企業のものも含めた携帯ショップや家電量販店の店内の様子を片っ端からチェックしてみた。両手の指の数くらいは見て回ったが、日曜の午後から夕方であるにもかかわらず、どこも閑散としており、従業員は手持無沙汰。お客さんがまったくいない店が半分以上だった。

 中国でスマートフォンの売れ行きが鈍っていると日本のメディアが伝えることが時々あるが、東北地方の大都市の1つである大連では少なくともその通りなのだろう。ちなみに、地下鉄・バス・トロリーバス・トラムの車内で乗客の様子を観察すると、新聞を読んでいる人は皆無。スマートフォンをいじっているか、何もしていない人がほとんど。本を読んでいる人はきわめてまれだった(学生と思われる)。

 また、個人消費が活発な感じは、まったくなかった。レストランや雑貨店は人が多かったものの、家電量販店では1階のスマートフォン売り場だけでなく、上階の大型家電やパソコンの売り場も閑散。中国政府が景気下支えを優先する姿勢を鮮明にし始めたという報道が帰国早々に出てきたほか(7月25日 日経新聞)、中国は貿易戦争に伴う国内経済への打撃を抑えるためにインフラプロジェクト支出を拡大する方針だと報じられたが(7月27日 ロイター)、うなずける話である。

 なお、経済政策の実権を奪われる形になって党内序列2位ながら影が薄かった李克強首相が、経済政策で存在感を示すようになる一方、習氏の経済ブレーンから副首相に登用された劉鶴氏の責任を問う声があるとの未確認情報が飛び交っているとのこと(7月28日 時事通信)。中国の経済政策の今後を見ていく上で、気になる情報である。

 さて、北朝鮮との国境の都市である丹東の宿泊先(2泊)に筆者が今回選んだのは、前回の旅でも1泊だけした丹東中聯大酒店(ジョンリエン・ホテル・ダンドン)である。

 対岸の北朝鮮・新義州と丹東を結ぶ物流の動脈である中朝友諠橋の真ん前にあり、行き来を観察するにはベストのロケーションである。各部屋には高倍率の双眼鏡が置いてある。向こう岸には、労働公園のプールのウォータースライダーであがる水しぶきなども見える。3年前にはなかった高層ビルの建築が、その近くで進んでいた。