孔子学院は世界に広がっている。写真は孔子学院設立10周年記念の2014年9月27日、米サンフランシスコ州立大学孔子学院で、学生たちが漢字を学ぶ様子(写真=新華社/アフロ)

 歴史の大きなうねりの中で、日本が置かれている環境は、日々大きく変わりつつある。

 外交・安全保障面では、核兵器・弾道ミサイルを保有し配備している北朝鮮という国家の存在および主張を、トランプ米大統領が首脳会談の場で事実上認知したことによって、中長期的に日本はどのようなコースを歩むべきか、真剣に議論せざるを得なくなる可能性が格段に増した。

 トランプ大統領はNATO(北大西洋条約機構)に対しても不満の声をあげつつ、NATOの仮想敵国であるロシアとの関係を改善しようとしている。国際秩序の先行き不透明感はこの面でも増している。

 さらに、経済面では、WTO(世界貿易機関)を軸とする貿易自由化・グローバル化という戦後の世界経済の流れ・国際常識に対してトランプ米大統領が公然と反旗を翻している。主要7か国(G7)の結束が崩れたことが、6月開催のシャルルボワ・サミットで露呈した。米国による保護主義的な政策の強引な展開が、世界経済を混乱させて成長率を下押しするリスクが増大している。

米朝首脳会談その後

 ここでは、そうした変革期について考えを巡らせる上で有益な最近のトピックとして、

  1. 金正恩委員長の「思うつぼ」だったことが徐々に浮き彫りになった米朝首脳会談
  2. 中国やロシアの「シャープパワー」

の2つをとりあげたい。

 まず、米国と北朝鮮の政治指導者による史上初の歴史的な顔合わせになった6月12日のシンガポールでの米朝首脳会談について、あらためて考えてみたい。この首脳会談開催によって、朝鮮半島で近い将来に新たな戦争が起こるリスクが大幅に低下したことは事実であり、そこに意義を見出すことは可能だろう。トランプ大統領にノーベル平和賞を、との声も一部にある。

 しかし、首脳会談が開催されて以降、トランプ政権が当初唱えていたCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な核の放棄)を北朝鮮に適用するという強硬な考え方が前面に出される機会は、明らかに減った。

 ポンペオ国務長官は6月24日のインタビューで、北朝鮮の非核化に向けた交渉に「期限(timeline)を設けるつもりはない」と発言した。13日の時点では「大規模な軍縮を2年半で達成できると希望する」と述べ、トランプ大統領の任期末(21年1月)までに非核化の大部分が完了するという見通しを示していたが、それとの関連は不明。

 米国防当局高官は6月24日、ロイターなどに、履行期限を具体的な要求とともに北朝鮮に速やかに提示すると述べた。だが、国防総省のホワイト報道官は25日、「北朝鮮との外交プロセスに特定の期限はない」とツイートし、上記発言を事実上否定した。

 ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)は7月1日のインタビューで北朝鮮非核化のスケジュールに関し、「北朝鮮が戦略的な決断を下し、われわれに協力的であれば非常に早く進めることができる。物理的には1年以内に大部分の廃棄が可能だ」と述べた。だが、この1年以内というのはあくまで、北朝鮮が核・ミサイルなどの関連施設を完全に公開するなど全面的に協力した場合はという、前提条件付きの話である。