ちなみに、ブルームバーグが6月5~8日に実施したFRB次期議長を予想するアンケート調査では、トップはイエレン議長の再任。以下、ジョン・テーラー元財務次官(現スタンフォード大学教授)、グレン・ハバード元大統領経済諮問委員会(CEA)委員長(現コロンビア大学教授)、ケビン・ウォーシュ元FRB理事が続いた。仮にいま同じアンケートをとるなら、再任という回答はおそらく減り、コーンNEC委員長が上位に入るだろう。

米FRBのイエレン議長は12日、米下院金融サービス委員会で議会証言した。FRB議長続投について弱気になっているのか、その質疑の中で「今回が最後(の証言)になるかもしれない」と話した。(写真:ロイター/アフロ)

イエレン議長のような柔軟な政策運営は期待できなくなるかも

 議会共和党内にそうした考え方の議員が少なくない、「テーラー・ルール(政策金利の理論式)」のような何らかのルールに沿う形で機械的に金融政策運営を標榜するのが望ましいと考える人物が次のFRB議長になる、あるいは空席の理事指名などを経てFRB内で大きな勢力を得るなら、イエレン議長のようなハト派寄りの「さじ加減」を含む裁量的・リスクマネジメント的で柔軟な政策運営は、もはや期待できなくなる。

 その場合、長期金利のうち政策金利との連動性が高い中短期ゾーンは利上げペース加速を織り込んで上昇しやすくなり、株価は強引な利上げがリセッション(景気後退)につながる恐れから下落しやすくなるだろう。

 また、イエレン議長に再任の芽がなくなると、FRBのバランスシート規模が縮小しないよう実施している再投資政策の見直しに、「レガシー」を作る狙いから任期中(おそらく9月)に着手しておこうという欲求が強くなるかもしれない。

 日銀の場合は、黒田再任か否かにかかわらず、「アベノミクス」の枠内で大規模な金融緩和が続くと予想される。それでも、新体制下では最初となる来年4月下旬の金融政策決定会合は要注目だろう。一方、イエレン議長が再任されない場合は、米国の金融政策運営に大きな変化が生じることを市場は警戒するだろうし、マーケットさらには世界経済全体が大きく動揺する恐れがある。したがって、日本よりも米国の中央銀行トップ人事の方が、はるかに重要なマターである。