イエレン議長は現在70歳で、トランプ大統領と同じ年齢である(ちなみに、ともにニューヨークの生まれである)。昨年の大統領選挙期間中、ヒラリー・クリントン民主党候補が体調を崩した際、本当に重責に耐えられるのかと健康問題が取り沙汰された例からもわかるように、健康不安説は高位の公職に就こうとする者にとり、ダメージが決して小さくない話である。感染症になるかどうかはその人の健康状態の良し悪しと直接関連するわけではないが、入院期間4日間は長いような気もする。また、イエレン議長は2015年9月24日の講演で脱水症状になり、20秒以上言葉に詰まったことがある。

トランプ大統領はイエレン氏の再任に含みを持たせたが

 トランプ大統領によるイエレン議長の再任を、筆者は予想してきている。その根拠は、①トランプ大統領自身が4月12日配信の米紙インタビューで「私は彼女(イエレン議長)が好きで、尊敬している」と述べて再任に含みを持たせたこと、②政治的求心力が低下している大統領がFRB議長の交代を選択して政治的火種を増やすのは得策ではないこと、③交代の場合、金融市場が先行き不透明感から不安定化する恐れがあり、これは政権にとって回避すべき事態であること。以上3点である。

 上記③について付言すると、トランプ政権で経済政策のキーパーソンである大手投資銀行ゴールドマン・サックス出身のゲーリー・コーン国家経済会議(NEC)委員長はそのあたりも勘案し、自らがトランプ大統領から後任に指名されるケース以外、イエレン再任に賛成するだろうと筆者はみている。

 だが、上記の入院に加え、イエレン議長続投に大統領の側近の一部が難色を示しているとする報道が、6月22日にブルームバーグから出ている。この記事によると、党派の違いに関係なく現職のFRB議長が過去に再指名されてきたことをホワイトハウス関係者は認識しているものの、大統領側近の一部には自ら選んだ人物をFRBのトップに据えたいという考えがあるという。もっとも、大統領はイエレン氏を気に入っているため、この問題を緊急に検討する必要性は感じていないとも記事には書かれている。

「ポリティコ」は、コーンNEC委員長が有力候補だと報じた

 さらに、7月11日には米政治情報サイトのポリティコが、イエレン再任の可能性は低く、コーンNEC委員長が有力候補だと報じた。コーン氏がFRB議長の地位を望んで、トランプ大統領が実際に指名すれば、上院の承認は比較的容易に得られそうだという。