むろん、これはテレビのような耐久消費財に限った話ではない。食品でも衣料品でも、ネット上で値段が安い店を探したり、さらには、すでに述べたようにフリマアプリで安く買ったり、逆に不要になったらできるだけ有利な価格で売ったりすることが、お手軽に行える世の中になった。

アマゾン参入により食品の価格も下がる?

 6月下旬、ネット通販大手のアマゾンがスーパーマーケットのホールフーズ・マーケットを買収すると発表したことが、米国の株式市場で大きな注目を集めた。ホールフーズは、比較的値段が高い自然食品・有機食品に強みがある。中低所得層の通販で大きなシェアを持っており、攻めをさらに続けようとしているアマゾンは、今回の一手で食品分野に本格参入する戦略のようである。競合することになるスーパーマーケット大手の株価は軒並み値下がりした。アマゾンの参入によって食品でも販売競争が激化して価格が下がり、業績が悪化するという読みからである。デジタル化進展を背景とするデフレ圧力が米国で一層の拡がりを見せてきた事例と言えるだろう。

デジタル化の波が消費活動を一変させる

 その米国では、物価が想定通りに上がってこないにもかかわらず、FRB(連邦準備理事会)が利上げを断続的に実施している。だが、上記のような動きも含めて考えると、利上げ路線は遅かれ早かれ行き詰まって停止を余儀なくされるだろうと、筆者はみている。失業率の低さや株価の高さにこだわって無理に利上げを続けると、景気後退懸念が急浮上するなどして失敗し、かえって利下げのタイミングを手前に引き寄せることになるだろう。

 デジタル化の波は、従来型の経済統計だけでは捕捉しきれない、消費活動の大きな変化につながっている。そうした点も踏まえながら経済・金融市場の動向を予測することが、エコノミストに強く求められる時代になったように思う。