急速な発展を遂げる「デジタル社会」の実相を、マクロ経済の統計は正しく捉えられているのか?

 6月20日に日本百貨店協会から発表された5月の全国百貨店売上高では、中国人などのインバウンド消費の取り込みがカギを握るようになるよりも前に主力商品の座を長く占めていた「婦人服・洋品」が、前年同月比▲3.5%になった<■図1>。マイナスはこれで19か月連続なのだが、マスコミ各社はそこにニュースバリューをもはや見出していないようであり、この部分は報道ではほとんど無視された。

■図1:全国百貨店売上高 婦人服
(出所)日本百貨店協会

「婦人服・洋品」では個人消費の動向を計れなくなった

 筆者は日常の生活感覚を重視するエコノミストとして、さまざまな経済指標を長い間、ウォッチし続けている。全国百貨店売上高の関連で言えば、以前には、「婦人服・洋品」が前年同月比プラスを続けているなら個人消費はとりあえずしっかりだという見方をしていた。なぜなら、家計の財布のひもを握るのは多くの場合、専業主婦が多数派の「奥様」族であり、その大きな関心事である衣服などファッション関連の支出は「歳出削減」の対象にはなりにくく、景気が良くなってくれば「歳出増加」圧力が増すというコンセプトが、その頃には十分成り立っていたからである。そして、景気がさらに良くなる場合、ようやくご主人にもお金が回り、百貨店で紳士服の売り上げがプラスに転じると考えられていた。