
英国EU離脱で、為替相場も株式市場も大荒れ
英国で6月23日に行われた、EU(欧州連合)に残留するか離脱するかをたずねた国民投票は、筆者を含む市場参加者の大方の予想に反し、離脱派の勝利に終わった。翌24日に開票が進む過程で離脱派の勝利が見えたため、市場は「リスクオフ」に急傾斜し、英ポンドが急落。ドル/円相場は一時99円台になり、日経平均株価は1万5000円を割り込んだ。
英政府によるEUへの脱退通告から最低2年間は交渉期間が設けられるため、欧州の経済秩序がどのような形に変わるのかはまだわからない。英国民が翻意して離脱しない可能性もある。だが、このまま離脱すれば学校の教科書におそらく載せられるに違いない大きなイベントである英国のEU離脱は歴史の文脈で、および短期的にどのような意味あいを有するかをここで考えておくことに損はあるまい。筆者は以下の4点に整理している。
「結婚生活」は続けた方が楽だが、感情的な部分が…
(1)「欧州統合」の流れが岐路にさしかかった
1967年発足の欧州共同体(EC)に英国が加盟したのは1973年。1993年には欧州連合(EU)に衣替えした。1999年の欧州通貨統合に英国は不参加。40年以上にわたるこの「やや特殊な結婚生活」に終止符を打つことを英国が選択し、EUから離脱する国が初めて出ることは、欧州の融和・統合の流れが非常に大きな岐路にさしかかったことを意味している。
トゥスクEU大統領は6月24日、EU首脳会議の案内状に「離婚の手続きについて協議する」と記した。ユンケル欧州委員長は同日、「EUと英国は円満な離婚ではないが、親密な恋愛関係でもなかった」と述べた。
経済的損得やいろいろな面倒を考えると結婚生活を続けた方がおそらく楽だが、感情的な部分(移民への反感、ブリュッセルのEU官僚による煩雑な規制やドイツへの不満)が、離婚を決断させた。今回の一件は、迷った末の「熟年離婚」に似ている面が、かなり多い。
加盟各国で勢力を増している反EU政党を勢いづかせないため、EUは英国に対し非常に厳しい交渉態度をとるという見方もある。だが、筆者はそうは考えていない。早期の交渉入りをEU側が求めていることがその1つの証しである。英国との「完全な離婚」はEUにとっても経済的なダメージが大きい。
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