(2)11月の中間選挙をにらんだ実績作り
 中間選挙で野党民主党が下院で過半数をとると、トランプ大統領の弾劾訴追が現実味を帯びる。
(3)長期的視野に立った中国との「覇権争い」
 トランプ大統領は、習近平中国国家主席との間で個人的信頼関係を築いたとしている。だが、米国の覇権を将来揺るがしかねない存在として、中国という国の存在感増大を警戒していることは疑いない。しかも、米朝首脳会談により北朝鮮との直接対話のルートができたため、中国による仲介を期待して通商面で米国が気をつかう必要は薄れたと言える。

QRコードで世界の先頭走る中国

 中国が推進しているハイテク産業育成戦略「中国製造2025」に、米国は大きな脅威を見出していると推測される。たとえばQRコード決済の普及で、中国は世界の先頭を走っている。そうした中国がこの先、ハイテク分野でグローバルスタンダードを握るようなことを、米国は決して座視しないだろう。中国への制裁関税がハイテク分野を主な標的にしていること、中国による対米投資規制の強化は、そうした文脈で理解すべきである。

 そうした中で米国の本音をあからさまに口にしたのが、対北朝鮮外交を中心にトランプ大統領に重用されている、ポンペオ国務長官である。同長官が6月18日に米国の自動車産業の中心地であるデトロイトのエコノミッククラブで行った講演の内容が報じられた。ここではAP通信の記事から、主な発言をご紹介したい(和訳は筆者)。

「これは略奪経済学の基礎だ」

 「中国が主犯(the main perpetrator)であることを、誰もが知っている」
 「それは前例のない水準の窃盗(larceny)だ」
 「自らに問いかけてみよう。中国が米国に対してした(のと同じ)ことを、中国は米国に容認しただろうか?」
 「これが略奪経済学の基礎(predatory economics 101)だ」
 「われわれは米国の力、経済的な強さと影響力を、経済政策の道具として用いる」
 「われわれは不公正な経済的行いに挑戦することにおいても、ベストを尽くす」

 ポンペオ国務長官は米国の行動を「経済外交(economic diplomacy)」と形容。それが正しく行われる場合は米国の安全保障と国際的な同盟関係を強めることになると語った。米国が中国と対峙する場合、安全保障の視点が抜け落ちることはないだろう。

 なお、ブルームバーグ通信によると、この講演では「米国の外交トップに特有の融和的な言葉遣いはなかった。中国との貿易戦争で大きな痛手を受ける可能性が高いミシガン州での講演だっただけに、特に辛辣(しんらつ)な言葉が使われた」という。選挙民向けにあえて過激な言葉が使われた面があるわけだが、中国に対する米国のスタンスの根幹が、実によく表れているように思う。

 米国と中国の覇権争いは経済および安全保障の両面から、中長期的にきわめて重要なテーマである。そして、日本にとっては、米中間でどのような立ち位置を選ぶのかが重大な問題になってくる。