「お風呂派」が減って「シャワー派」が増えているとすれば、普通に考えれば入浴時間は短くなるはずである。しかし、「国民生活時間調査」のデータとは整合しない。この謎に関しては、次のようないくつかの解釈が可能だろう。

(A) 全国ベースで見ると、実際には「シャワー派」は増えていない。

(B) 「身のまわりの用事」のうち、「入浴」の時間は減っているものの、それ以外(たとえば「化粧」や「洗顔」)に費やされる時間が増えている。

(C) 「入浴」中に行われる活動が現在は多岐にわたっているため、結果として「身のまわりの用事」の時間が長くなっている。たとえば、「シャワー派」が増えていても、「お風呂派」が防水のゲーム機やテレビなどで長い時間楽しむ、お風呂の中でストレッチをするなどの活動をしているケースが考えられる。

 筆者は上記のうち(B)や(C)が影響しているとみているのだが、現時点では、正解がどれなのかはわからない。より細分化した生活時間の調査結果が待たれる。

麻生財務相が語る、個人消費を伸ばすための条件とは

 個人消費が低迷を続けていることに関連して、麻生太郎財務相は5月31日の閣議後記者会見で、「基本的に個人消費が伸びるためにはいくつか条件がある」と述べた上で、その条件2つを次のように説明した(時事通信の会見詳報から引用)。

■【まずデフレを止める】
 「間違いなく、今より明日の方が安いとなれば買いませんよ。買い物に行って100円だった大根が次の週行ったら97円になってた。次の週は95円になってた、という話をデフレというが、そういった物価が下落状況になるときには消費は伸びない」

■【次に勤労所得層の可処分所得を増やす】
 「給与が増えるということは企業が利益を出し、かつ企業の中の生産性が上がらない限りは利益が出ませんから」「そういった意味では企業が生産性を上げるような設備投資をやって、結果としてこの20年近く止まってる設備投資の多くを、この際金利の安い今、新しく買い替えていく」

個人消費に景気をけん引させるのは、今後も困難だろう

 その上で、会見の最後に麻生財務相は、「消費者の心理がどのように影響していくか」が一番見えないとした。可処分所得が増えても、消費性向(可処分所得のうち消費に回される金額の割合)が低下すれば、消費は減少してしまう。

 だが、麻生財務相は、生産年齢人口が毎年減少していることが消費に及ぼす影響については、記者からの質問に回答しなかった。

 さらに、いわゆる「長生きリスク」にさらされている高齢者のみならず、お風呂の関連で述べた2つの理由や老後への不安などから、若者も支出額を絞り込む生活パターンを変えないとすれば、個人消費が景気をけん引する絵図を描くのは、構造的な面から今後もきわめて困難だと言わざるを得ない。