「もったいない」「時間がない」

 だが、20代の若者が湯船につからない理由は上記の記事の通り、以下の2点のようである。

① 「一人暮らしでもったいない」という経済面の合理的な思考

② おそらく、SNSでのやり取りやアルバイトなどでとにかく忙しいため、「時間がない」という時間的な制約

 これらのうち①の関連では、さまざまな維持管理や付随する費用を含めて考えると都市部では自分で車を保有するのは「コスパ(コストパフォーマンス)が悪い」という彼らなりの経済合理的な思考ゆえに、若者の「車離れ」が顕著になって久しいことが想起される。筆者は講演などの場で最近、「お風呂にさえあまり入らない若者に車を買わせようとしても、なかなかうまくいかないだろう」と説明することがある。

 上記①と②は、簡単に変わる(ないし変えられる)ことではない。時間が経ち、世代が入れ替わるに連れて、日本で「湯船派」は徐々に減っていく可能性が高いと、筆者はみている。

 若者の入浴時間が近年になって短くなっていることを実際に示す統計データがないだろうかと思って探してみたのだが、そうしたものを見つけることはできず、逆に、一見すると長くなっているのではないかと思わせるデータが1つあった。

 NHK放送文化研究所が5年ごとに実施している「国民生活時間調査」がそれである。日本人の生活時間がどのようなことに、どのくらい振り分けられているかを示す、時系列データが含まれている。

 今年2月に公表された2015年の最新データ(調査実施期間:10月13~26日)によると、以下のような特徴があった。

 ① 日本人の睡眠時間減少が止まって「早起き」が一層進み、「早寝」が増加

 ② 高年齢層を含めてテレビの視聴時間が減少

 ③ ビデオやインターネットの利用に広がり

「身のまわりの用事」に費やす時間は増加傾向

 調査項目の中に、「身のまわりの用事」がある。
 「洗顔、トイレ、入浴、着替え、化粧、散髪」が具体例として挙げられている分類(時間の使い方)である。

 この「身のまわりの用事」に平日に費やされた時間を、男女別・世代別に見ると、20代の男性は1時間04分で、5年前の調査から6分増加。20代の女性は1時間29分で、5年前から5分増加していた。

■図1:「身のまわりの用事」に費やされている平均時間(平日)
(出所)NHK放送文化研究所

 同じ世代の動向を探るため、10年前(2005年)の調査における10代と比較しても、男性は9分増加、女性に至っては19分も増加している。土曜や日曜のデータでも、傾向はおおむね同じとなっている。