だが、コアPCE(個人消費支出)デフレーターの前年同月比が4月分で+1.5%まで鈍化するなど、FRBが掲げてきたシナリオからの物価の下振れが目立つ中、従来の想定通りのペースでこのまま利上げを続けるのは本当に妥当なのだろうかという疑念が、FOMC参加者の間で徐々に広がりつつある。

 FRBを含む中央銀行の目指すものは、究極的には物価の安定である。したがって、物価が伸び悩む状況で必要なのは、本来は追加緩和のはず。景気が過熱してインフレ率が一時的に目標の2%から上振れてもかまわないという「高圧経済論」に賛同する発言が、イエレンFRB議長から聞かれたことさえある。にもかかわらず無理にこのまま利上げを続けても、早晩行き詰まるのは目に見えている。利上げがペースダウン(ないし停止)すれば、米国株全体には追い風となる。

金融引き締め予告がECBから出てくる可能性は低い

 5月31日に発表されたユーロ圏の5月の消費者物価指数速報値で、サービスは前年同月比+1.3%になった(財は確報で発表される)<■図4>。

■図4:ユーロ圏の消費者物価指数(HICP) 財・サービス別
(出所)ユーロスタット

 2月に前年同月比+1.3%だったサービスは、3月が同+1.0%の後、4月は同+1.8%に急加速した。しかし、その主因はカレンダーの上でイースターが今年は去年よりも遅かったことによる、ゆがみである。その反動が出て、上記のようにサービスのプラス幅は5月には+1.3%ポイントまで急反落した。物価・賃金の基調がしっかり上向くのをまず確認する必要があると主張しているドラギ総裁らECB(欧州中央銀行)内のハト派にとり、強い支援材料である。早い段階でのQE終了や利上げといった金融引き締めを予告するメッセージがECBから出てくる可能性は、現時点ではほとんどない。

 このように、日本では「エンドレス」に、ユーロ圏でもなおしばらくは「カネあまり」状況が維持されそうな情勢であり、米国の金融政策の行方が最も重要な注視対象になる。