現在の米国の株価には、落ちてもリバウンドする力がある

 「カネあまり」状況が恒常化しているため、現在の米国の株価には「下方弾力性」があり、5~6月の相場動向からもわかるように、何らかの理由で急落してもその後にリバウンドする力が備わっている。米国株の一方的急落は考えにくいという相場観を、筆者は抱いている。

 だが、「ペンス昇格なら株高がさらに進む」といった過度に強気の見方には、さすがに同意できない。トランプ大統領が急きょ辞任する場合、初期反応として、ニューヨークダウ工業株30種平均(NYダウ)はおそらく1000ドル以上の急落になるだろう。その後、ペンス副大統領昇格で米国の政治がとりあえず安定するという見方からリバウンドするものの、全値戻しした上でさらに高値を更新していくようなシナリオは描きにくい。

トランプ大統領を見放した共和党議員は、次の選挙で落選する?

 よく考えてみよう。トランプ大統領が弾劾訴追に直面するなどして辞任するということは、共和党指導部およびそれなりに多くの議員が大統領を見放すということを意味している。その時までに、すでに述べたように共和党支持者の多くがなお大統領を支持しているとすれば、議会共和党に裏切られたと考えた彼らは、中間選挙の予備選における共和党候補者指名および本選挙で、共和党の現役議員の投票行動を確認した上で、大統領弾劾・辞任に賛成した議員は落選させようとするだろう。

 そうした共和党内での分裂や混乱が大きくなると、中間選挙の結果、上下両院のいずれか一方または双方の過半数を共和党が失う可能性が高くなる。ペンス副大統領が大統領に昇格しても、中間選挙を経て、各種政策の実現可能性はむしろ低下するというわけである。

 『ニューズウィーク日本版』は5月30日号で、「弾劾に動けない共和党の事情」と題した記事を掲載した。副題は「メディアと民主党が騒いでもトランプに造反すれば中間選挙で不利になる」。大半の共和党議員がそれでもなおトランプ政権を維持しようとしている理由としてこの記事は、①政策の実現(弾劾手続きが始まればほぼ全面的に法案審議が止まる見込み)、②支持率の問題(共和党内でなお支持率が高い大統領を見放すと党内右派から手ごわい対抗馬が出てくる)、③経済(有権者は「ロシアゲート」の展開よりも経済・株価の方に関心あり)の3点を挙げており、説得力がある。