一方、日銀による追加緩和の有無やある場合のタイミングに強い関心を抱いている市場関係者にとっては、マイナス金利の効果が出てくるのを日銀はいつまで待つつもりなのかという視点が重要になる。

 まず、カウントの起点をいつにするか。マイナス金利が決定されたのは1月29日(金曜)。実施されたのは2月16日からだが、その前から市場金利が急低下し、住宅ローン金利などは低下していた。それゆえ、カウントの起点は2月1日が妥当だろう。

 上記の黒田総裁発言を総合すると、そこから「2か月超・半年未満」が「数か月」に該当すると解釈できるので、3~5か月を足し合わせると、5月1日~7月1日になる。

 この間に予定されている日銀金融政策決定会合は、6月15~16日のみ。利上げの有無が注目されている米FOMC(連邦公開市場委員会)の直後に設定されている会合である。

 だが、経済情勢の変化を示す統計が出てくるまでには、当然のことながら時間差がある。機械設備投資の先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)の5月分が公表されるのは7月11日で、6月分は8月中旬になる見通し。

日銀の追加緩和の時期を推測すると…

 また、黒田総裁が独紙インタビューで言及しており、日銀が設備投資を見ていく上で伝統的に重視している日銀短観(全国企業短期経済観測調査)の6月調査(概要)が公表されるのは、7月1日である。これらの重要統計をチェックする必要性を考慮すると、日銀の追加緩和が行われるのはロジカルには、最速で7月28~29日会合だという話になる。

 もっとも、2015年10月の会合で日銀が物価目標の達成時期を先送りしながらも追加緩和を見送って以降、追加緩和のタイミングについてロジカルな推測をしても実際にはあまり意味がなくなったということを、筆者を含む日銀ウォッチャーは十分認識している。要するに黒田総裁のトップダウンで、追加緩和のタイミングは裁量的に決まるということである。その黒田総裁は5月13日に行った講演で追加緩和について、「(マイナス金利の)効果がはっきりするまで待つということでは全くない」と述べていた。

 市場で追加緩和「催促相場」が毎四半期起きる「戦力の逐次投入ゲーム」に陥るのを避けるべく、日銀は10月31日~11月1日の会合まで追加緩和を先送りするつもりだと、筆者は推測している。だが、円高や株安が急進行する場合は、そうしたところまでカードを温存することができず、7月や9月の会合で日銀は追加緩和に追い込まれるだろう。

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