人口減・少子高齢化の着実な進行というマクロの構造的な経済の下押し圧力が作用し続けており、政府がそうした流れを食い止めるような強いイニシアチブをとってくれていない中で、日本の金融機関は、明るい将来像を描くどころか、足元の収益確保や数年というスパンでの生き残り策を描くことに汲々としているのが実情であるように思われる。

 それでは、銀行などの「本業」である貸し出しがどのような実情になっているのだろうか。ここでは日銀が四半期ごとに公表している主要銀行貸出動向アンケート調査をもとに探ってみたい。

 この調査は、日銀の取引先である国内銀行・信用金庫のうち貸出残高上位50先の協力を得て実施されており、貸出残高全体に占める50先のシェアは16年度の期中平残で76%である。4月20日に発表された4月分(回答期間:3月9日~4月11日)で、資金需要判断DIは、企業向けが+3に低下(前期比▲5ポイント)。個人向けも+3に低下した(同▲4ポイント)。回答対象は過去3カ月間の実績で、このDIの計算式は、(「増加」とした回答金融機関構成比+0.5×「やや増加」とした回答金融機関構成比)-(「減少」とした回答金融機関構成比+0.5×「やや減少」とした回答金融機関構成比)である。

個人向けはマイナス

 ただし、この調査のDIには季節調整が施されていない(季節性を反映した上下動が出てしまう)。そこで前年同期比をとると、企業向けが▲1ポイント、個人向けが▲4ポイントで、いずれもマイナスである。足元の資金需要は企業・個人ともに、やや弱まったと判断される。

 さらに、個人向けの内訳を見ると、住宅ローンが+4(前期比▲2ポイント、前年同期比▲3ポイント)、消費者ローンが▲3(前期比▲5ポイント、前年同期比▲13ポイント)で、前年同期比はいずれもマイナスである。

 住宅ローンについては、相続税節税が目的とみられる貸家の建設向け融資(アパートローン)に対する金融当局のチェックが厳しくなったことが主因である可能性が高い。

 消費者ローンの関連では、銀行のカードローン(個人向け無担保貸し付け)に関して金融庁が立ち入り検査を実施し、その結果を1月26日に公表。過剰な貸し付けを防ぐため、顧客の返済状況などを踏まえて融資上限枠などを定期的に検証するよう求めた。

 また、全国銀行協会がカードローンについて自主規制を実施。こうした経緯があるため、17年12月末時点の銀行カードローンの残高は5年ぶりに減少した。

 貸出市場における需要と供給のバランスをうかがい知るため、この調査に含まれている2つのDIを組み合わせた数字をチェックしたい。

 需要面には、上記の資金需要判断DIを用いる。一方、供給面には、貸出運営スタンスDIを用いる。貸出運営姿勢に関するこのDIの計算式は、(「積極化」とした回答金融機関構成比+0.5×「やや積極化」とした回答金融機関構成比)-(「慎重化」とした回答金融機関構成比+0.5×「やや慎重化」とした回答金融機関構成比)で、回答対象は過去3カ月間の実績である。

 まず、個人向けについて、資金需要判断DIから貸出運営スタンスDIを差し引いてみると、マイナス圏での推移がほぼ定着していることがわかる(数少ない例外は14年4月の+3と、18年1月の+3)<図2>。

図2:貸出市場の需給バランス 個人向け(資金需要判断DI-貸出運営スタンスDI)
(出所)日銀資料より筆者作成

 景気拡張局面が戦後2番目の長さになる中で、近年は▲10よりも高い水準になった調査が多いものの、景気循環とは無縁の理由からも低下圧力が加わっており、プラス圏に定着するのはかなり難しいだろう。