(3)「増税しても景気が悪くならないようにする」という考えは、「ないものねだり」に近いこと。財政の将来の安定性を増すために、手前で家計に負担を強いるのが、消費増税である。

 (4)上記とも重なり合うが、人口減・少子高齢化の急速かつ着実な進行と財政の実情から考えて、日本という国は「苦い薬」を飲み続ける必要があり、「甘いコーティング」を施すこと(たとえば景気刺激策を消費増税と同時に実施するアイディア)には、自ずと限界がある。

税率引き上げ、延期の可能性も

 もっとも、一連の不祥事による財務省の信認低下もあって、19年10月に予定される8%から10%への消費税率引き上げは延期される可能性がかなり高くなったと、筆者はみている。そうした状況下で上記のような議論をすることには、一種のむなしさも漂う。

 もう1つ、大型連休期間中の消費税関連の報道で筆者が注目したのは、自民党内の若手議員による動きである。

 金融市場ではほとんど話題にならなかったが、5月1~2日に共同通信・産経新聞・日経新聞が報じた自民党若手議員による提言の内容は、筆者には衝撃的だった。

 共同通信は5月1日夕方、自民党若手議員有志による「日本の未来を考える勉強会」(呼びかけ人代表:安藤裕衆院議員)が消費増税凍結を含む提言をまとめたと報じた。

 この提言は「税収増を達成するには、消費税の減税を視野に、最低でも増税凍結が必要だ」と強調。財政支出の拡大も不可欠とし、予定通りに10%への消費増税を実施する場合は20~30兆円規模の経済対策が必要と主張した。5月中旬にも安倍首相や党執行部に提出する考えで、衆参両院の議員30~40人が署名する見通しという。

 産経新聞は5月1日夜、上記と同様の内容を電子版で配信した。

 日本経済新聞は5月2日未明、電子版で「消費増税『凍結を』自民若手 黒字目標撤回も、政府に提言へ」と題した記事を配信し、上記の提言を取り上げた。当選1~3回の衆院議員と当選1回の参院議員30人ほどでつくる「日本の未来を考える勉強会」は、「これまでは少し経済環境が良くなると消費増税や緊縮財政をしてデフレ脱却できなかった。同じ轍(てつ)を踏んではならない」と強調。消費増税凍結、基礎的財政収支(PB)黒字化目標の撤回(撤回しない場合は内閣府試算の27年度から目標時期を前倒ししないこと)に加え、「特別枠」を設けて「当初予算を毎年3~4%ずつ拡張すべき」とした。

 公共事業や教育などの歳出はPB対象経費から除外することを求め、教育投資国債や防衛装備投資国債の創設も提案。国債の消化状況や経常黒字、外貨準備の大きさなどを根拠に、「必要以上に財政破綻を警戒する必要はない」とした。政府が6月にまとめる経済財政運営の基本方針(骨太の方針)への提言内容反映を求めるという。

 上記の日経電子版の記事は充実した記述内容だった。だが、紙の新聞では目立たない小さな記事にとどまった。政府は新たな財政健全化計画でPB黒字化の目標時期を25年度にする見通しだというニュースに紙面が割かれたためだろうか。また、産経新聞の5月2日朝刊でも、このニュースの文章量は大幅に圧縮されていた。