②「物価安定の目標」2%未達成とのかね合い

 黒田総裁が「物価安定の目標」2%を達成できないまま途中で投げ出すようなことはしないだろうと読むこともできる。

 4月28日、金融政策に関する決定内容の対外公表と同時に、最新の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)の基本的見解が公表された。1月の前回レポートで「2017年度前半頃」に先送りされた「物価安定の目標」2%の達成時期は、「2017年度中」に書き換えられ、またも先送りされた。

 仮に、1年先送りして「2018年度前半頃」にしていれば、現在の日銀総裁・副総裁3名の任期(5年)が18年3~4月に満了することとのかね合いで、当初強くアピールしていた「2年程度での達成」どころか、もはや任期中には達成が困難だと事実上認めたようなものではないかと言われかねなかった。

③後任になりたいと希望する人はいるのか?

 大胆で実験的な金融緩和を展開し続ける一方、「出口」戦略を表立って議論するのは避けたまま走ってきた黒田氏の「後始末」的な役回りになりかねない後任の日銀総裁を引き受けたがる人が誰かいるのだろうか、という疑問を口にする向きもある。

 次期日銀総裁人事は、2018年3月19日に任期が満了する岩田規久雄、中曽宏両副総裁とセットで行われる可能性が高い。まだ先の話であり、現時点で推測できることには限りがあるわけだが、上記の3つのポイントを軸に今後も注視したいテーマである。

 いずれにせよ、リフレ派の考え方を強く支持している安倍首相の2020年東京オリンピック・パラリンピック開催時までの続投を前提にする場合、黒田総裁が再任されるかどうかにかかわらず、「レジームチェンジ」後の積極的な日銀の緩和姿勢は維持される可能性が高いと、筆者はみている。

 日銀の大胆で実験的な金融緩和からの「出口」は政治的な性格のものしか想定することができず、安倍首相の後任が誰になるかが、きわめて重要なポイントになる。

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