学校法人への国有地売却に関する決裁文書改ざんと福田前財務次官のセクハラ疑惑という2つの問題で、麻生財務相の任命責任を問う声があり、野党は辞任を強く要求している。上記の世論調査2つでは、「辞任すべきだ」が50%台に乗せた(産経新聞・FNNの世論調査では45.6%、日本経済新聞・テレビ東京の調査では49%にとどまったが、数字は小さくない)。首相の盟友である麻生氏が閣外に去るようなら「安倍内閣は一気に傾く」という声が自民党幹部からも出ているという。

■図1:安倍内閣の支持率・不支持率
(出所)朝日新聞

 だが、麻生派(志公会)の「番頭」を自認する松本純・国対委員長代理によると、安倍氏と麻生氏の「絆は半端じゃありません」「契りは堅い」(4月24日付 産経新聞)。

二階派の動向に注目

 そこで、大きめの内閣改造を実施し、麻生氏に代わる財務相に麻生派の人物を充てつつ(たとえば鈴木俊一・五輪担当相の横滑り)、麻生氏は副総理として閣内に残留するといったアイディアが浮かび上がる。仮に閣外に去る場合でも、麻生氏の安倍首相を支持する姿勢は不変ではなかろうか。

 次に③についてだが、何と言ってもまず、主流3派(国会議員数は細田派94人・麻生派59人・二階派44人で、自民党所属の国会議員数の約半分を占めている)の安倍首相支持に亀裂が生じることがないかが注目点になる。

 上記のように麻生派の安倍支持が非常に堅いとするなら、注目は二階派の動向になる。その二階派を率いる二階俊博幹事長は4月23日、世論調査における安倍内閣の支持率低下について、「この程度であると許容の範囲だ」としつつ、9月の党総裁選での安倍首相3選を支持する姿勢には「一分の変わりもない」とした(「1ミリも変わりない」と伝えた新聞記事もある)。

 ただし、二階氏の政局観には定評があり、素早い変わり身で「首相支持とは逆方向に動いた時点で、一気に政局になる」と警戒する関係者もいるという。

 そうした中、③でもう1つ注目すべきポイントは、主流3派以外の派閥や、派閥に属していない党内有力政治家による、「合従連衡」の模索である。

 自民党総裁選は規程が変わって、以前よりも地方票の重みが増しており(国会議員票と地方票は同数。過半数を得た候補がいない場合の決選投票では各都道府県に1票ずつ)、全国の党員票がどの候補に集まるかが選挙結果に大きな意味を持ってくる。その関連で言えば、国民的人気がある小泉進次郎・筆頭副幹事長(無派閥)がこの先どのような動きを見せるかも、よく注視していく必要がある。

 額賀派から衣替えした竹下派(55人)を率いる竹下亘総務会長は4月20日、9月の党総裁選について、「財政再建はやるぞという考えを真ん中に持っている人に(次の党総裁に)なっていただきたい」と明言(4月21日付 日本経済新聞)。その上で、「政策的に一番近いのが岸田氏(政調会長)のグループと感じている」と述べる一方、石破茂元幹事長について、旧額賀派に属していたことがあるため「同志という感覚を(竹下派の)何人かが強く持ち、非常に近い人だ」とした(4月21日付 産経新聞)。こうした発言を額面通りに受け取れば、竹下派は党総裁選に向けて、2つの選択肢を用意して臨もうとしているといえるだろう。

 そうしたメッセージに、安倍氏からの「禅譲」待ちが党総裁・首相を目指す上での基本戦略になっているとみられている岸田文雄氏は、どう対応するだろうか。注目である。