森友文書改ざん問題で、財務省の信用は地に堕ちた。写真は3月27日の参院予算委員会 (写真:AFP/アフロ)

 日本の債券市場では、健全な価格形成の機能が日銀の異次元緩和によって封殺されており、発表される経済指標への感応度は皆無に近くなっている。市場が関心を抱いているのは、日銀の金融政策がこの先どう変わっていくか、さらにはその上位にあるマターとして、「アベノミクス」を主導している安倍首相はこのまま21年秋にかけて長期政権を築くことができるのだろうか、といった点である。このため、債券市場に所属しているマーケットエコノミストである筆者の日常業務においては、日本の政治動向をウォッチする度合いが増している。

 今回のコラムでは、安倍首相の「続投確率」が最近の相次ぐスキャンダルをうけてどこまで下がったか、および、この先予想される政治的な手の一つである10%への消費増税の延期は日本国債の格付けに影響するのかどうかについて、筆者の見解をお伝えしたい。

世論調査でも支持率急落

 安倍首相の苦境が続いている。トランプ大統領との日米首脳会談は、貿易促進の基軸をTPP(環太平洋経済連携協定)にするか、FTA(自由貿易協定)にするかで日米の主張がかみ合わず、事実上物別れに終わった。新たな日米通商協議は、話し合いの場を作ったに過ぎず、安倍内閣支持率の浮揚につながる話ではない。4月下旬に実施された世論調査を見ると、安倍内閣の不支持率は50%前後に高止まっている。毎日新聞による世論調査では、「支持する」という回答は30%まで減少した。読売新聞による世論調査の内訳では、女性に続いて男性も「安倍離れ」しており(支持44%・不支持50%)、年齢別では30歳代でも不支持が支持を上回った。ただし、18~29歳では「支持する」がなお7割弱となっており、いわば最後の砦である。

 この先注目すべきは、①安倍内閣の支持率が「危険水域」とされる20%台まで低下したことを示す世論調査が今後いくつ出てくるか、②麻生太郎財務相の去就、③9月の自民党総裁選をにらんだ各派閥の動き、以上3点である。ここでは②と③についてコメントしたい。