この間、近畿の「電気機械」のDIは、15年12月調査では+11だったが、日本の部品メーカーも発注を受けている米大手メーカーの新型スマートフォン販売台数が会社の計画を下回る中で、16年3月調査では▲10に急落した。先行き(6月予測)は+4になっている。しかし、日本経済新聞が4月16日に報じたところによると、このスマートフォンの前年同期比3割程度の減産は4-6月期も続けられる。近畿の「電気機械」が6月調査でマイナス圏を脱するのは、どうやら難しそうである。

③「宿泊・飲食サービス」の業況判断DIは、北陸で急低下。新幹線効果薄れる

■図3:日銀短観 各地域で特徴的な業種の業況判断DI③
■図3:日銀短観 各地域で特徴的な業種の業況判断DI③
注:2016年6月は同年3月調査における先行き(6月予測) (出所)日銀福岡支店、金沢支店
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九州は観光客減少の可能性

 九州・沖縄では、15年9月調査で「宿泊・飲食サービス」のDIが+30まで上昇した後、15年12月と16年3月はともに+26になった。だが、先行き(6月予測)は+12への低下である。しかも、4月中旬には熊本・大分で大きな地震が何度も発生して被害が出ているため、韓国や中国から九州に向かう観光客が減少する可能性が高くなっている。

 北陸では、15年9月調査でピーク(+67)をつけた後、12月調査はほぼ同水準(+66)だった。ところが、16年3月調査では+41に水準を切り下げ、驚くべきことに先行き(6月予測)は+9まで急低下した。北陸新幹線の開業から時間が経って観光客の誘致効果がそろそろ薄れてきた可能性のほかに、中国など新興国の景気減速を背景にインバウンド消費の陰りが予期されていること、北海道新幹線が開業したのでそちらに観光客の関心が移った可能性も指摘できる。

 日本経済は成長力が弱く、しかも「力強く持続的なけん引役が不在」という弱点を内包している、不安定な状態である。円高急進行といった強いショックが加わると、景気はたちまち後退局面に陥るだろう。

 各地域を代表する主要業種の業況判断DIの直近のベクトルからも、日本経済のリスクがダウンサイドにあることが浮かび上がっている。

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