介護サービス業は今、人手が最も不足している職種だ。(写真:PIXTA)

有効求人倍率は「バブル期」並み水準で高止まり

 2月の完全失業率が2.8%に低下し(1994年6月以来の低水準)、公共職業安定所(ハローワーク)で扱う求職者数および求人数のデータから算出される有効求人倍率は全都道府県で1倍を超えており(受理地別では東京都の2.04倍が最高で沖縄県の1.02倍が最低)、昨年12月から今年2月までは1.43倍で高止まりしている。これは1991年7月以来の水準で、バブル経済のさなかだった1990年7月に記録した1963年以降の最高値(1.46倍)までもう少しという記録的な数字である。ちなみに、「リーマンショック」後の景気の落ち込みの中で記録したボトムは2009年8月の0.42倍だった。

 また、4月3日に発表された日銀の全国企業短期経済観測調査(日銀短観)3月調査では、全規模合計・全産業の雇用人員判断DI(回答比率「過剰」-「不足」)が1992年2月(▲31)以来の水準である▲25に低下した。

「人手不足」は経済に悪影響をおよぼすか?

 このように雇用需給のタイト化を示す数字が相次いで出てくる状況下、「人手不足」が経済に及ぼす悪影響が議論される機会がこのところ増えている。よく聞かれる主張は、①人手不足がこのまま続くと賃金の底上げで企業は対応せざるを得なくなり、サービス分野を中心に物価上昇率が顕著に押し上げられる、②人手不足によってこの先の日本経済の成長は大きく阻害・抑制されかねない、というものである。

 「硬直的・静態的」な思考展開を行う場合には、これらはきわめて素直な結論だろう。実際、①の関連では金属労協による2017年春闘中間集計(3月末現在)で傘下中小組合へのベア回答額の平均が大手を初めて上回ったり、パート・アルバイトなど非正規社員の賃金が上昇したりする現象が、最近観察されている。