5月末で任期が満了するコンスタンシオ副総裁(男性)の後任にはやはり男性であるデギンドス・スペイン経済相が就くことで決着した。ECB副総裁への女性登用を望む声が欧州議会内にあったものの、次期ECB総裁を含む主要ポストを巡るEU加盟主要国の政治的な駆け引きの前には無力だった。

 とはいえECBは、一般職員まで広げたレベルでは、積極的に女性を活用する方針を打ち出している。同行のホームページには「Women@ECB」と題したページがあり、ダイバーシティーやインクルージョンの重要性がうたわれている。中間管理職への女性登用の数値目標は、シニアマネジャーが16年末実績18%→17年中間目標24%→19年末最終目標28%、全マネージャーが16年末実績26%→17年中間目標29%→19年末最終目標35%である。日銀のホームページでダイバーシティーに向けた取り組みを見ると、管理職に占める女性の比率は17年9月末時点で9.6%にとどまっているので、この切り口ではECBがかなり先を走っている。

 もっとも、4月1日には清水季子氏が日銀の名古屋支店長になった。女性が日銀の事務方で局長級以上のポストに就いたのは初めてである。

 中央銀行トップ層への女性登用問題で、いま最もホットなのは米国である。ワシントンにあるFRBは、現任の理事3人を分母にすれば、女性比率はカナダ銀行と同じ11.1%になる(ラエル・ブレイナード理事が女性である)。だが、比率はここから低下していく可能性が高い。男性であるカーネギー・メロン大学のマービン・グッドフレンド教授が、欠員4の1つを埋めるFRB理事に指名され、上院銀行委員会で2月8日に承認された。現在は上院本会議の承認待ちとなっている。

女性やマイノリティに配慮なし?

 また、金融政策を決める米連邦公開市場委員会(FOMC)には、全米に12ある地区連邦準備銀行の総裁が出席するが(うちFOMCで投票権を有するのは、常にそうであるニューヨーク連銀総裁と輪番で有する4人の計5人のみ)、女性は現在、ロレッタ・メスター・クリーブランド連銀総裁とエスター・ジョージ・カンザスシティー連銀総裁の2人だけである。

 喫緊の課題になっているのが、昨年10月に退任したスタンレー・フィッシャー氏の後任のFRB副議長と、任期切れを待たず年央に退任予定のウィリアム・ダドリー・ニューヨーク連銀総裁の後任人事である。ニューヨーク連銀総裁はウォール街を管内に抱える米国の金融市場調節の司令塔であり、FOMCで投票権を有しつつ副議長を務める要職である。

 FRB副議長にはさまざまな名前が挙がったが、直近の報道によると、男性であるリチャード・クラリダ氏が有力となっているようである。同氏は米債券運用大手ピムコのマネージング・ディレクターであり、米コロンビア大学教授でもある。候補者の1人として女性のメスター・クリーブランド連銀総裁の名前も挙がっており、ホワイトハウスでインタビューも受けたようだが、その後の報道に出てこない。

 閣僚人事を見ればすぐ分かることだが、トランプ大統領はダイバーシティー意識が希薄であり、女性を登用して女性比率を維持する(ないし引き上げる)というような行動はとらない。

 また、ニューヨーク連銀総裁には男性であるサンフランシスコ連銀総裁のジョン・ウィリアムズ氏が最有力というのが米欧有力マスコミによる最近の報道内容であり、実際、4月3日に同氏の起用がニューヨーク連銀から発表された(就任は6月18日付)。

 クラリダ氏、ウィリアムズ氏ともに男性であり、しかも白人である。このため、性別・人種のバランスを重視する向きからは、このままでは女性やマイノリティへの配慮がない人事になってしまうと危惧する声が出ている。特にニューヨーク連銀総裁については、人選の過程でそうした配慮をするという触れ込みの中、オバマ前政権で財務次官(国内金融担当)を務めた女性のメアリー・ミラー氏や、米ニューヨーク大学スターン経営大学院の名誉学長で黒人のピーター・ブレア・ヘンリー氏といった名前が下馬評にあがっていた。それだけに、白人男性のウィリアムズ氏起用に対しては失望感を抱く向きもありそうだ。